短編小説みんなの答え:0

ワンピースの君

新学期、僕は作文の授業の時に消しゴムを忘れたことに気がついた。消しゴムがなければ、失敗した作文が書き直せない。僕がどうしよう、どうしよう、と慌てていると、隣の席の女の子が、消しゴムを貸してくれた。「消しゴム、忘れたの?」とも「作文、書かないの?」とも聞いてこないで、ただ「貸してあげる」と言って。花柄のワンピースを着ていた。それから何回か一緒に話すようになって、僕たちは友達になった。女の子は、かえでと名乗った。僕の家の近くの公園で、毎日のように遊んだ。その日も、公園で遊んでいた。それぞれの家に帰る時に、かえでがぽつりと、「ごめんね。」と言った。僕は、「何の話?」と聞き返したけど、何も答えてくれなかった。 それからしばらく、かえでは学校にこなくなった。 先生から、かえでは入院したと聞いた。どうやら病気になってしまったらしい。そして、もう助からないらしい。   僕は、かえでが入院したという病院に駆けつけた。かえでは、病気が悪化したらしく、人形みたいに寝っ転がっていて、動かない。病院からの帰り道、僕は心の中がからっぽだった。 それから1週間後、かえでが死んだと聞いた、僕はショックで、気を失った。保健室で、ずっと泣いた。僕は、もう一度かえでに会いたくて、病室に行ってみることにした。もちろんかえでがいないのは、わかっている。 病室の中にはたった一枚、あの時と同じ花がらのワンピースを着たかえでが写った写真が飾られたままだった。その写真を見て、僕は気づいて、静かに言った。                  大好きだよかえで。                     

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