短編小説みんなの答え:1

15年越しの再開と奇跡。

"キキーーーー!!!!!" どんどん意識が遠のいてゆく。私は今、車とぶつかったのだ。 あれは15年前のことだった。 私が働く大病院に、当時10歳だった男の子が緊急搬送されてきたのだ。 助かる可能性はほぼない。そんな状態だった。 『こんなに幼い子供なのに残念』『可哀想に』そんな冷淡な言葉が耳に入る。 その瞬間、彼が私の手を、辛うじて残っていたであろう全ての力を振り絞って、握ったのだった。 「私が必ず助けるので手術をさせて下さい」 気づけば私は、そんな言葉を口にしていた。 それは奇跡だった。 誰もが無理だと思っていた状態だった彼は、奇跡的に回復したのだ。 その後も彼は入院生活で、外には出れない状態であったが、いつも私に会う度に、『助けてくれてありがとう。僕もいつか先生に何かあったら、絶対に助けるね。そのときは僕のお願いごと、聞いてくれるよね!』と、不思議なことを言うのだった。 彼は今どうしているのだろう。 ぼんやりと考えながら歩いていると、疾風の如く走る暴走車が私の目の前に現れたのだった。 気がつけば、そこは私が15年前に働いていた大病院だった。 カレンダーを見てみると、あれから一週間が経っていた。 私は一週間も意識を失っていたのだ。 「先生!」 まさか自分のことだとは思わなかった。 振り返ってみると、そこには男性医師が立っていた。 なぜ私が先生と呼ばれるのか、そのときはまだ理解が出来なかった。 「先生、僕、言いましたよね。絶対助けるって。」 その瞬間、涙が出てきた。 目の前に立っていたのは、私が15年前に助けた男の子なのだった。 「先生、お願いごと、聞いてくれますか?」 彼が入院していたあの頃、自由に行動することが出来なかった彼は、『外に出たい』『遊びたい』『学校に行きたい』そんな大したことのないお願いごとも、誰も叶えてはくれなかったのだった。 「もちろん」 そう言うと、彼は 「入院していたころ、先生はずっと僕の傍にいてくれました。あの頃から、僕は先生に恋をしていました。だから、これからはずっと僕が先生のそばにいさせてください。」 私は、その言葉を心に刻むと同時に、彼の手を精一杯の力で握ったのであった。

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