欲しいもの
二っと笑った。 私は元気。人気者。いつも明るくて、悩みなんて何もない。 学校でも、家でも。もちろん一人でも。 いつも笑って、ニコニコして、みんなを笑わせて。 そうしているのも、ちょっと疲れちゃったみたい。 もう、いっつも笑って、何が欲しいのかな? 自分でもわかんないなぁ。 あぁ、本気で笑ったの、いつだっけ? 自然にふっと笑った。もう、癖になっちゃってる。 天井を見上げても、解決策、なんてものはない。 でも、なんでだろうな。 こんな時だけ笑えないのは。 こんな時こそ、みんなが笑ってくれたように、 みんなを安心させられるように笑ったように、 笑えたらいいのに。 ほんと、終わってる。‘人気者‘の私は。こんな理不尽な私は。 窓に目を向けると、見飽きたいつもの風景は、なぜか霞んで見えた。 あ、今泣いてるんだ。涙が出てる。 やっと泣けた。これかな、欲しかったのは。 人気、明るさ、笑顔じゃなくて。 そう思って、またふっと笑った。 久しぶりに笑った。心の底から。 私で笑えた。