短編小説みんなの答え:1

儚く消える

初恋は、小学生の頃だった。 他のどんな女の子よりも笑顔が可愛くって、頬を赤ながら話してくれるあの子が大好きだった。 それは彼女も同じだったらしくて、僕たちはよく一緒に過ごしていた。 周りに冷やかされるのも、案外悪くなかった。 彼女となら一生一緒にいられると思った。 この先ずっと支え合えると、本気で思った。 『大人になったら結婚しようね』 あの時の君の顔は、今でも覚えている。 頬をいつもより赤く染めながら、必死に何度も頷いてくれた。 真っ赤な頬には、キラキラと光るものがつたっていた。 嬉し泣きだと思っていた。 彼女は、昔から泣き虫だったから。 どうやらあの涙は嬉し涙ではなかったらしいとわかったのは、君の家に呼び出された日だった。 親の仕事の関係で、九州の方に引っ越すことになったらしい。 僕たちが住んでいたのは東京なので、子供一人では遊びに行けない距離だった。 彼女は泣きながら謝って、僕に紫のアネモネを渡してくれた。 紫のアネモネは、窓からの夕日が反射して輝いていた。 そのアネモネは結局すぐ枯れてしまったけれど、本当に綺麗だった。 そこからの時の流れは本当に一瞬で、社会人になり、妻ができて、娘ができた。 紫のアネモネの花言葉が『あなたを信じて待つ』なんて気がつかないまま。

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