本当に優しい人
私の名前は東海かれん。小学5年生。 私は優しいとよく言われるけど、それは表だけ。ほんとはちっとも優しくなんてない。 「なぁヒラメ!ノート貸せよ!」「ぇ…ちょっと待っ」「いいから貸せって!」(バシッ!) あのノートを取られてる子は平木蓮。苗字が平木(ひらき)でヒラメみたいだからそう呼ばれている、いじめられっ子。 あの子がいじめられているのは知られているけど、皆見てみぬフリをしている。私もその1人。可哀想だとは思うけど、 助けたところでいじめのターゲットが私に変わるだけだろうし、なんの見返りも無いのに話した事もないあの子を 助けることなんてできない。きっと…あの子にも何かいじめられるような原因があるんだから仕方ない。 (かれんの友達)「ねーかれん、もうすぐテストなのに分かんない事が多くて…かれんは頭いいし、放課後勉強見てくんない?お礼もちゃんとするからさー」「いいよー!最近、難しい問題多いし!」「ほんと!?ありがとー!かれんは優しいね!」優しい…か。いじめを見て見ぬふりをする私は、ちっとも優しくなんてないのに… ーーー放課後ーー 「ここはね、こうすると早く解けるよ!」「むずいなぁ…ほんとかれんにはついていけないよーw」「あーあ、掃除だるー」あいつの名前は陽田優。平木をいじめているいじめっ子。(かれんの友達)「また男子サボってる…じゃんけんで負けた人が掃除するって自分らで決めたくせに、ちゃんとやってよね!」「はいはい。るせーなぁ、あ!ヒラメ、お前が代わりにやれよ」(平木連)「…………」 (ドンッ) 「これホウキな。じゃ、よろしく」スタスタスタ…(かれんの友達)「平木も平木だよねーw」「えっ…どうして?」「だってあの子、こっちから話しかけても返してこないじゃん?せっかく話しかけたっつーのに返事しないとか失礼じゃない?wいじめられてもしょーがないわー」「……………いじめられても仕方ないのかな」私は今までずっと、あの子はいじめられても仕方ないと自分に言い聞かせて、ただあの子を 助ける勇気が出ないだけの自分を誤魔化してきた。今日もいじめをすぐそばで見ていたのに、助けられなかった。 私は本当にバカだ。見返りをくれる人にだけ優しくして、それ以外の人は見て見ぬフリをする。1番賢い生き方だと思っていた。 明日は……明日は平木を守って、〝本当に優しい人″になる。必ず…必ず。