峠神社(少々不吉な描写があります)
学校でいじめられてもう1年が経つ もう生きるのが辛い、苦しくて仕方がない もう私が生きる意味なんて… そう思いながら家に帰っていると、『リン』と涼しげな鈴の音がした 自転車を止めて音がした方を向くと、いつもは何も無い場所に神社があった 『峠神社』 なんだろう…この神社、それに峠って… 中に入ると普通の神社だった、けど雰囲気が異様だった、禍々しさと神々しさが混ざったようなそんな感じがした しばらく周りを見回していると 「こんにちは、迷い子さん」 と誰かの声がした 声がした方を向くと、女の子が二人いた、見た感じ双子みたいだ とりあえず二人の名前と、ここについて聞いてみる事にした やはり二人は双子らしく、姉の名前は彩華(あやか)松柄の黄色の着物を着ている 妹の名前は魁空(かいくう)椿柄の黒色の着物を着ている、二人はこの神社の巫女さんらしい 峠神社は、昔この地域で亡くなった方を黄泉へ案内するために作られた神社 だったのだが、最近は亡くなった方以外に死を強く望んでいる者もここにたどり着く事が多くなったらしい じゃあここは異世界? そう考えていると魁空さんがこう言った 「あんたには生きるかこのまま亡くなるか決めてもらうよ」 「――え?死ねるんですか?」 私はいつの間にかそう言っていた 魁空さんは私を軽蔑するような目で見たあと 「はあー、もう嫌だよこんな奴の相手、姉さん後はよろしくね」 そう言うと魁空さんは少し離れた場所にある吽形の狛犬の横にもたれかかった 彩華さんはその様子を見て少し困った顔をしつつも説明してくれた 「私達には役割があってね、私は人の生を、魁空は死を司ってる、亡くなった人以外に、君みたいに死を望んでここに迷い込む人も少なくない、そんな人が来た時は、生きたいか死にたいか決めてもらって、生きたいなら私が現世へ返して、死にたいなら魁空が黄泉へ案内することになってるんだ」 その話を聞いた時には、私の中でもう答えは決まっていた 私が魁空さんの所へ向かおうとした時に 神社の鳥居の方から声がした (私を…呼んでる…?) お父さんとお母さんだ、どうして? そう思っていると、魁空さんが呆れたようにため息をついて、私にこう言った 「あのさ、あんたどうせ黄泉 へ行こうとしたんだろうけど、あんたみたいな小娘にはまだ早いわ、あんたを必要としている人がいるだけで十分幸せじゃない、なのに目の前の不幸にばかり囚われてここに来て、どうしようもない馬鹿ね、あんたは私達とは違う、とっとと帰って」 そう言って私を彩華さんの方へ突き飛ばした あんたは私達とは違う?…どういう事? いや、今はそれを考える時間じゃない 私は…本当に死んでもいいの?後悔なんか無いの? 数分間考えた後、私は彩華さんに向かって 現世へ返して下さいと言った 彩華さんは少し微笑んだ後 「そこの鳥居を目を閉じた状態でくぐれば帰れるよ」 と言った、二人にお礼を言い 私は鳥居をくぐった 次に目を開けると、そこにはいつもの帰り道が広がっていた、お父さんとお母さんもいた 私を見つけた途端に、私の方へ駆けつけてよかった…よかったとお父さんが泣き出した、お母さんはどこに行っていたのと怒った、けどその声は優しかった 魁空さんの言うとおり、私には私を必要としてくれる人がいる 帰ったらいじめのことも言ってみよう 私の両親ならきっと助けてくれる 帰ってから、あの神社について調べてみた、どうやらあの神社は貰い手がない子供や、働けなくなった老人を対象とした口減らしがされていて、その人達の供養のために神社で祈りを捧げていたらしい そこの管理をする人、いわゆる巫女さんも貰い手がない子供から数人選ばれて、代々受け継ぐようになっていた、そんな縁起が悪い神社だった事もあり、巫女さん達は村人からひどい差別をされたそうだった あんたは私達とは違うって言うのは、そういう事だったんだ 私みたいな生きるのが下手な子供に、死について語る権利は無い ただ生きて生きて生き続けていつか死ぬときに後悔せずに笑えるような人生を送りたい それが両親とあの二人への唯一の恩返しになるから