忘れさせてよ、この恋心。
恋は単純で、いつも簡単に人を狂わせる。 私だってそうだから。 中学の3年間、彼に恋をしていた。 最初はただのクラスメイトだった。 だけど、隣の席で会話を重ね、日を重ねるうちに、いつしか彼を意識し始めた。 これがきっと、私が恋をした瞬間だった。 恋は、何気ないことから始まる。単純だ。 彼の笑顔や、声を聞くだけでも鼓動が鳴り止まなかった。 だけど、それから緊張して話せなくて、気づけば2年生になった。 彼とクラスは離れた。 「告白、できなかった…」 所詮そんなものだろうって、私は彼を好きでなくそうとした。 でも、忘れられなくて、彼のクラスに行って、理由もなく彼を探した。 彼を見つけると、胸が高鳴った。 『好き』をやめるのは難しい。 目が合うだけでも、単純な私は彼を好きになっていった。 進級して、3年生になった。 今度は、彼と同じクラスだった。 嬉しくて、一日一日を大事にしようって思った。 だけど、彼と隣になることはなくて、話す機会は1年生の時より確実に減った。 ついに卒業式で、彼に告白できる最後のチャンスだった。 「……っ」 やっぱり、勇気がなくて、できなかった。 あっけなく、中学を卒業した。 皆高校に進学するんだから、私も、彼に対する恋心を卒業しようって思って、忘れようとした。 だけど、あの太陽みたいな笑顔が頭から離れなかった。 彼と過ごした日々。 会話した日々。 一緒にいた時間。 それらがどれだけ大切だったのか。 忘れるのはほぼ不可能だって。 新しいクラスの男子を見ても、新しい恋を始めようとしても、やっぱり脳裏に蘇るのは彼だけ。 休み時間、彼といた文化祭の動画を見返した。 「……3年間、彼が好きだったんだ」 言葉にして、彼への思いが確かなんだと、今更思った。 自分が彼に恋していたとは知っていた。 だけど、こんなに後悔と切なさが押し寄せてくるのは。 一度ついた恋草は、簡単にはなくならない。 そして、こんな昔話を書いているときも、彼を忘れてはいないことを。 これはこの話を見て、気づいてくれた君へのラブレター。 でも、もう遅い。 好きになってもらう努力もせずに、逃げまくった結果だ。 恋に臆病な私。 私は、あなたがずっと大好きだった。 もういいよ、ありがとう。 さよなら。 早く忘れさせて。 頭に浮かぶ、彼の天真爛漫な笑顔が。 忘れたくても忘れられない。 一粒の雫が落ちた。 忘れさせてよ、この恋心。