よくある普通の恋だけど、私には大きくて特別な恋
私は大江未有(おおえ みあ)。中学3年生で、恋をしてるの。 その男の子の名前は、大西蒼(おおにしあおい)くん!暗めだけど、消しゴムを忘れた時予備の物を貸してくれて、それから少しずつ、好きになったの。優しいエピソード、教えちゃうね。 私と蒼くん、「おお」が同じだから、出席番号順に並んだ時、絶対に前後になるの。その時、筆箱の中身をガラガラって落としたら、黙々と拾ってくれたんだ。カラーペンとか、シールとか、付箋とか、香り付き消しゴムとか、そういうのに興味があったのかな。休み時間、こう言ってくれたんだ。 「僕にも、付箋とか売ってる場所、教えて欲しいな。今度、一緒に行こうよ」 もうすごく距離が縮まった感じがして。意外と蒼くんは、フレンドリーだった。 「このカラーペン、ツインタイプで使いやすい色なのに、こんなに安いって、すごいね!」 「わあ。このシールはノートのメモとかに使えそう」 「マスキングテープの使い方攻略書とかついてるなんて、優しい」 蒼くんは、私が知らなかった文房具を教えてくれて、その店の常連客になった。 その時からかな、私がすごく告白したい!って感じたの。 普段は黙々と本を読んでる。でもほんとは、優しくて、フレンドリーで、とってもいい子。そんな蒼くんも、おすすめの漫画を紹介してくれたりした。 はぁ……。 そろそろ、告白しようかなぁ、なんて思っていた。 「決めた!!」 私は蒼くんが文房具店の常連客であることを使い、告白しようと思った。 当日。 「今日は何を買おうかな?」 「ね、ねえ」 「ん?どうしたの?」 「あ、あのさ。私、蒼くんが、好き、なんだよね」 「本当?嬉しい!……でも、ちょっと待ってて。店を出てから、言いたいことがあるんだ」 「う、ん。わかった」 私は、涙を隠すことができなかった。 月に1回のショッピングなのに、台無しだ。 「あ、あのね。僕……本当の自分を出せてないんだ」 「え?」 「今まで、騙してて、ごめん」 蒼くんは、恐る恐るかけていたメガネを外した。 そこには、ぱっちり目の、可愛らしい目が合った。 それだけではない。マスクを外して、他にも色々と外すと、美少女がいた。 小顔で、ぱっちり。口は小さくて、鼻が高くって。 明らかに、モデルだ。 「実は、僕、女なんだ。でも、どうしても、女っていうことが受け入れられなかったんだ……でも、大江さんのことは好きだよ。でも、付き合うことはできないんだ。きっと、からかわれるから……」 「大丈夫よ」 「え?」 衝撃の事実だった。 でも、ここで驚いたら、彼女失格。 「大丈夫。愛の形は、人それぞれだもん」 「……ほんと?」 「そうだ、モデルになってみたら?可愛いし。かっこよさも、メイクとか次第で、ありそう!モデルになったらジェンダーレスな服装!とかのテーマで!」 「いいね!」 「そしたら、私が編集長になるから。おしゃれには自信があるの!まずは校内で出しましょ!」 「うん!」 「名前は、そうね、gender Jewel!(ジェンダージュエル)どんな性別でも、関係なしに着れるおしゃれなコーデを考える。男女問わずに、おしゃれの宝石を生み出す、っていう意味!」 「いいね!」 「だから、モデルになってくれない?」 「うん!喜んで!」 数年後。 ジェンダーレスなファッション雑誌・gender Jewelは、圧倒的な人気だった。 そして、未有と蒼は、結婚はできないが、愛し合っていて、仕事仲間でもあった。