あの蝶のように
私には、生まれつき自由がなかった。両親は、私のことをモノとしか見ていない。ストレス発散機械みたいに。 ほかの子の家庭と違うところを口にすると、「あんたがいるだけで迷惑なのに、口答えしてんじゃないわよ!」と。 いつも淡い期待だけ抱いて、その期待はもろいガラス細工のように儚くこわれる。 生きている価値あるのかな。と思う時もある。だけど、友達がいるから。 友達はいつも私の味方をしてくれる。「そんな親ひどい!」「私たちは味方だよ!」って。 あと、本とか。本は期待を裏切らない。その時間だけ、幸せな時間に浸れる。だけど、その時間すらも、いずれ儚く散るとはその頃の私は知る由もなかった。 ある日、両親は、借金を抱えていたことを伝えられ、夜逃げすると言われた。 友達のこととか思うと悲しかった。だけど、私は生きたかったから。 友達の家の前に「ごめんね。」という置手紙だけ残して、逃げた。 あれから数年後、いま私は働いている。両親の借金を返すために。両親は、楽して返したいがために、私が頑張ってコツコツと集めたお金や、本を売りさばいて借金を返した。だけど、そんなお金だけじゃ返せるわけもなく、ついに、「お前が働いて借金を返せ。」と言われた。両親に逆らうのは怖かったから、仕方なく働いていた。そして、借金をすべて返せた。が、「あんた役に立てるじゃない、私達の生活に使うお金稼いで頂戴ね?」「そうだぞ、やっとお前が役に立てるんだから。必要とされたかったんだろ?」と言って両親は、ゲラゲラと汚い笑みを浮かべた。だけど、私はいつの日かに見たあの蝶のように、自由に自分の人生を歩むことを夢見ていた。だから私は、あの蝶のように自分の力で立つんだ、と心に決めて両親にこう告げた。「私はもうあなたたちに必要にされたいと思ってない。それはもう昔の話。私は決めた。自分の力で立つの!」「チッ!勝手にすればいいじゃない!」そう言って両親は部屋にこもった。 あの時、その決断をしてよかった、と今思う。なぜならまた、両親は借金を抱えたからだ。今は自分でしたいことをしているから私にはもう関係ない。そして、私に勇気をくれたあの蝶に、感謝したい。