ウソつきお母さん
「結、結。今日の晩御飯はクリームパスタよー」 「違うでしょ!香りでわかるし。今日はナポリタンでしょ」 私は峰山結(みねやまゆい)。 「あっちゃぁ。バレちゃったかー」 で、こっちが私のお母さん。ウソつき。 だって、とってもひどい嘘をつくんだよ?どんなに騙されたことか。 「結のお父さんはね、旅行に行ってるの」 これは、私のお父さんが死んでいたことを隠すための嘘。 「結は、賢すぎるから、普通の幼稚園には入れないのよ」 お金の関係で幼稚園に通えないことを隠すための嘘。 「ごめんねぇ、お母さんはあまり食べないから、いっぱい食べてね」 お金がないから、お母さんだけご飯を食べないことは日常茶飯事。 言ってることの大体は、大体は、嘘、嘘、嘘。 でもある時、お母さんは倒れた。 すぐ病院に運ばれる。 「大丈夫よ、大丈夫。ちょっと食べなかっただけだから」 また、嘘。 「ゲホッゲホッゲホッ!!」 「お母さん!!」 病院の真っ白なベッドで、お母さんは咳き込む。 「大丈夫じゃないよ、やっぱり!」 「ふふ……やっぱり、私の嘘、見抜けちゃったかぁ」 「ふざけてないで!ほんとに、ほんとに、死んじゃうんだよ!!」 お母さんは、なぜか微笑んでいた。 「最後に、読んで。私のバッグの中の、て…ゲホゲホっ!がみ。大丈夫よ、絶対、私は死なない、から…………」 「お母さん!!」 ひどい。お母さんは、最後まで、嘘ばっかり。 最後の言葉も、嘘、嘘…… ぱらりとてがみを開く。 《ゆかのした》 「何言ってんの?」 それだけ、書いていた。 私は、狭くてホコリまみれの和室の床をとった。そこには、銀色の箱があった。 パカ。 私は箱を開いた。 そこには、お金が入っていた。 そして、手紙があった。 《学費には、これを使ってね》 そんなことまで、そんなことまで、なんで心配するの? お母さんの、嘘は、嘘ではなかった。私への、本当の愛情、だったんだ。