メリー、クリスマス。
しゃんしゃん、しゃららんらん。 突然だけど私、栗須愛璃(くりす めり)。 名前からしてクリスマスガールっぽいでしょ? 18歳。彼氏ナシ。好きになった歴ゼロ。 サンタになりきってプレゼントを隠すバイトしてるんだぁ~ でも、みんなはぜっっったい、言っちゃだめだよ? 今年も、クリスマスがやってくる。 ・・・・・ 街がクリスマスムードになり、みんな浮かれている。 みんなで「ね、何もらうの?教えてよおぉ」と聞き合っている。 俺、山崎公平(やまざき こうへい)それを羨ましそうに病室から眺めていた。 今年の俺の欲しい物、は… 身体を、強くできる魔法をかけて下さい。 ちっちゃい頃から身体が弱くて、入院ばっかり。 両親は、どれだけお金をかけてくれてるんだ? 俺は、なんにもできてないじゃないか。 ______ねぇ、サンタさん。 俺のお願い、聞いてくれるよね? ・・・・・ あぁ、もう。 なんか今年、担当多くない? 去年はこんな多くなかった気がする。 あちこち走り回って、プレゼントを届けていく。 最後だ。…次は、病院? 「最後は…っと」 リストを見ると、 ”山崎 公平” 「ヤマザキ コウヘイ?」 この人、去年… 「サンタさんへ。 おれは、絶対にかなえてほしいねがいがあります。 身体を、強くできるまほうをかけて下さい。」 私は困ってしまった。 第一、ものじゃないと渡せない。 魔法なんて、かけられないよ。 私は、今流行りのゲームをあげた。 そしたら、公平は泣いた。 どうして?と。 俺、サンタさんに叶えてほしかった。 期待なんてするんじゃなかった、と。 ___________ごめんなさい。 「どうしよう。私…」 ちょっと困る。というか結構困る。 公平が悪いんじゃない。 だけど、… 何もしてあげられない。 サンタじゃ叶えられない願いだってあるんだと実感した。 公平に、がっかりさせてしまった。 そんなつもりじゃなかった。 私は考え抜いて、喜びそうなモビールをあげた。 ・・・・・ まただ。 俺の願いなんて誰にも叶えてくれない。 モビールを胸に抱いて泣いた。 朝、静かに夜が明けていく。 1年後。 俺はサンタに会おうと思った。 サンタに会ってみたいと思った。 しばらくして、病室の窓から音が聞こえた。 …らん。しゃららん、しゃららららん。 「えーっと、次は山崎くん…」 俺の窓の前に、少女がいた。胸に、「愛璃」と書いてある。 あのときの! 胸がドキドキした。 もしかして、好きになったとか? 「どうしよう。山崎くんは一体…」 愛璃が悲しそうに言った。…涙が伝っている。 「あの子をもう泣かせたくないのに。なんて無力なんだろう。ああ…」 「良いんだよ!俺はっっっっっ」 「え?や、山崎くん!?どうして」 「俺は、愛璃が考えてくれるだけで嬉しいんだよ。お願いだから、っ、泣くな…」 「山崎くん?」 「俺はっ」 あのとき君は、どんな気持ちで手紙を読んでいたんだろう。 涙を流し、静かにプレゼントを渡す君は美しい。 だから。 「俺は、君が好きだっ」