世界で一番愛されたぬいぐるみ、メリーちゃん。
わたしの名前は糸風なぎさ。11才になったのにまだ人形はしゃべると信じている。要するにメルヘン少女だ。 わたしがもっているぬいぐるみコレクションの中でも特にお気に入りのものは小さい、かわいいワンピースをきたおばあちゃんが買ってくれた手ぬい人形だ。わたしはその子を「メリーちゃん」とよんでいた。メリーちゃんはいつでも、どこでも一緒だった。 旅行の時も遊びに行く時も、泣くときも一緒。もちろん寝る時も。 翌年。なぎさ家は引っこすことになった。県境をこえるから転校になる。そこでわたしの小さい荷物はすべてわたしのキャリーケース2つにおさまるようにいれた。ごみ袋に入れたにもつもたくさん。そのあとすぐゴミ収集所においた。 「メリーちゃんがいない!」 引っこしてベッドにメリーちゃんを置こうとしたのだが、いない。わたしは必死になってさがした。キャリーケースの中、引き出しの中、洋服のすき間・・でも、いなかった。少し泣いてしまった。メリーちゃんがいなくなったらわたしの5さいからの半分以上の思い出が消されてしまうきがしたからだ。 その日は、泣きながらベッドで寝た。メリーちゃんの夢をみた。 「メリーちゃん、ごめんね。ほんとうはゴミ収集所にすてたくてすてたんじゃないの。ほんとうにごめんね。」 わたしは言う。 「なぎささん・・・。わたしもはじめ『なんですてたの・・?』と悲しみました。でも連れていかれるうちにおもったんです。なぎささんはそんな人じゃない。わたしを勝手にすてたりしない、とね。だから、これから毎日わたしの体がちっちゃいから小さい幸せしか送れないけどこれまでわたし、メリーを愛してくれた恩返しとして小さな幸せをたくさん差し上げるようにがんばりますね。 なぎささん、本当にわたしお店で売れなかったんです。「気持ち悪い」という人もたくさんいました。なぎささんのおばあちゃんにかわれても愛されないんじゃないんだって。でも、あなたはもらった日からわたしを愛してくれた。目をキラキラさせながら肌身はなさずわたしを色んなところに連れて行ってくれた。愛してくれた。うれしかった。本当に、本当にありがとう。」 メリーちゃんは涙を流しながら言った。そして、うっすら、うっすらきえていった。わたしもいった。 「メリーちゃん、大好きだよ!」 「メリーちゃん!」 はっとして起きた。また、泣いてしまった。メリーちゃん、大好きだよ。だから、もどってきてよ。とつぶやくとお母さんが 「え!?すごい!なぎさぁ~ベランダに来てちょうだい!」 と言ってたのでしぶしぶいくと、 「きれい・・・・・」 きれいなツバキがさいていた。なぎさは、ツバキが大好きだ。きっとこれはメリーちゃんが送ってくれた幸せだ。 メリーちゃん、ありがとう。ありがとう。と心のなかでしみじみ思っているとき・・・ 「ピンポーン。」 と音がした。わたしは「え?」と思った。このわたし達の家の住所を知ってるのはサラリーマンのパパだけだ。 インターホンで見た感じパパだ。ママがはあい、とでると 「なぎさ、おまえが、さがしていた、めりー、ちゃん、あった、ぞ」 と。ていねいに差し出されたのは昨夜夢で見たメリーちゃん。 「メリーちゃん・・・!メリーちゃん!」 わたしは大声で泣いてしまった。メリーちゃん・・・よかったあ。そのとき、声がした。 「わたしはあなたを信じています、なぎさ。わたしもあなたが大好きです。めぐりあえてうれしい。」 「メリーちゃん、わたしもっ!」 メリーちゃん、大好き!言葉では言えないほどにね。わたしもあなたを愛してる。