還らぬ旅へ
紗代、愛していた。僕は君が大好きだった。 時は昭和。日本は、米国との戦をしていた。20歳以上の男児は赤紙が来たら、戦地へ行かなければならない。 21歳の僕も、もちろん赤紙がくれば、逝くことになる。愛人がいたとしても。 「雄太郎、甘味処に行きたい。甘いものが食べたい…。」紗代は、甘いものが大好きで、戦前はキャラメル、ビスケットをよく駄菓子のばあさんのとこに一緒に買いに行った。今は甘味は手に入りづらく、駄菓子のばあさんのとこはもう閉店している。最近は甘味を食べていなかった。僕は紗代と甘味処についた。くりいむソウダを飲み、代金を払い、紗代の妹用にラムネを買って、帰った。この日々がずっと続けばいいなと思ったが、そんなことはあるはずなかったんだ。 「間宮雄太郎、明日の午前10時ごろ、米国軍を撃ちます。」と商店街の人々に宣言をした。1番近くに、涙を流した紗代が立っていた。「雄太郎、逝かないで。ずっとそばにいて。結婚して、貴方と子供と暮らしたかった。」僕は紗代を抱きしめ、黙って去っていった。