いいはさみ
「皆さん、いいはさみって何だと思いますか?」 小学三年生の担任の寿先生は道徳の時間、急に話し始めた。 一人の生徒は、 「切れ味のいいもの!」 と元気に言った。 先生は首を横に振った。 他の生徒は、 「両利き用のはさみ??」 と心配げに言った。 しかし先生はそれにも首を横に振った。 「じゃあ、なんですか?」 と生徒は質問した。 「では、人で例えましょう。いい人ってどんな人でしょうか」 寿先生は優しく微笑み、そう言う。 「優しい人」「誰も傷つけない人」「助けてくれる人」 生徒たちがどんどん答えます。 「では、難しい言葉を使いますね。一部の人間が社会的に見たら優しい人とは、どんな人でしょう?」 「・・・?警察とか?」 生徒が不思議そうに答えた。 「そうですね。助けられた人は、優しい人と答えるかもしれません。ですが、つかまってしまった方は、理由があったのかもしれませんし、いろいろあって、実際警察がいろいろ怒られてしまったこともあります」 生徒は真剣に聞いている。 「では、いいはさみって何でしょうか。はさみは人を助けます。ですが、それと同時に人を傷つけます。切れ味のいいはさみは、より切りやすく、紙もすいすい切れますね。ですが、その切れ味のいいはさみは、人をもより深く傷つけることもできます」 生徒は息をのんだ。 ようやく質問の真の意味が分かったのである。 「では、もう一度聞きますね。 皆さん、いいはさみって何だと思いますか?」 生徒は誰一人答えられなかった。 実はもっとあったんですが、文字数が・・・