短編小説みんなの答え:4

涙で滲む視界に映るのは、君の笑顔

風が吹き、あざやかな色の桜が舞い落ちた。 「今年の桜も満開だな~!」 私は明るい声を出す。だけど、その声とは反対に、内心ではこの季節が来たことを寂しく思っていた。 私は百花(ももか)、中3だ。 今日は卒業式の日。 3年生は校庭の真ん中に立つ。そして、1・2年生はその周りを囲むようにして立つ。 「もうこの学校には通わなくなるんだね‥‥」「悲しいけど、高校生になるのは楽しみ!」 3年生の中から、そんな声が聞こえてきた。 その言葉を聞いたら、私の心はひどく痛んだ。 (私は正直、卒業したくないなぁ‥‥)と、そう思っていたから。 なぜなら――。 「百花先輩!!」 2年生の中から、私の名前を呼ぶ声が聞こえる。 声の主は、祐司(ゆうじ)だった。 祐司は私の彼氏だ。優しくて、サッカーが得意な2年生。 (去年、祐司が私に告白してきたのはびっくりしたっけ‥‥) そう、祐司が私に告白したのは去年。帰り道が近かったから、偶然知り合ったんだ。 付き合って1年。でも、もう祐司とは会えなくなる。 高校は違うし、帰り道が近いとはいえ、家がどこにあるのかなんて知らないし。 だから、私は、祐司と離れるのがいやなんだ。 あ、とうとう卒業式が始まった。 先生たちの話を聞いていると、自然と涙がこぼれてくる。 いやだ、まだ卒業したくない――!! そして、ついに卒業式が終わった。 もう本当に、祐司とは会えなくなるんだ。 私は祐司に最後の別れを告げようと、彼の方を見た。 すると祐司は、私と目を合わせると、優しい笑顔を浮かべたんだ。 涙で滲む視界に映るのは、君の笑顔。ただ、笑顔だけ。 彼の笑顔から、「高校でも頑張って」と伝えようとしているのが分かった。 祐司、なんで別れるときに限って、私に笑顔しか見せないの‥‥!? こんな悲しい別れ方、ある? ほんとは君に伝えたかったのに。「ずっと好きだよ」って。

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