ライブの一夜(夢オチ)
イヤホンから流れる音楽が耳に心地良い。最近、イヤホンを変えてみた。スマホショップで売ってる、「最高の音楽をお届けします」と謳っている、イヤホン。やっぱり、百均も使えるが、本物には敵わない。 私は今、教室の一軍女子に追いやられたような感覚で外にいる。でも、夏の外は好き。一軍女子は、日焼け止めや冷却スプレーを振りまいているけど。ジリジリと肌が焼け付く感覚、夏特有の香り、ベンチの隣の花壇に植えられたひまわり。夏は一番好きな季節。だって、冬になると、寒いし、雪が積もって、ベンチにも座れないし。 私は、中庭にある忘れられたように静かに佇んでいるベンチに座って、大好きなアーティスト、「ルイボス」のプレイリストを聞くのが、一番の幸せだと思う。 この暑さなら、人も来ないし、ぎゃあぎゃあ喚くうるさい一軍女子もいない。 うるさいくらいの音量でイヤホンから音楽を流すと、まるでライブに来たような臨場感がある。暑さは熱気、沢山の蝉の鳴き声はファンの歓声、中庭の真ん中にある丸い花壇がステージで、その花壇にも植えられているひまわりは、ギターを掻き鳴らすルイボス。 ほんと、最っ高。いつか、本当のルイボスのライブに行ってみたいものだ。でも、これで行った気になっている。でも、ここはあくまでも学校チャイムが鳴り出し、私を現実へと掻っ攫う。とぼとぼ教室に戻る。なんだか帰路が長い気がするが、気のせいだ。教室に帰ると、一軍女子のリーダー、藤崎逢乃(ふじさきあいの)に「ねーねー、アオハルちゃんって、いつもどこにいるの?」と聞かれる。 アオハルちゃんは、私のあだ名。名前が、青木葉瑠(あおきはる)だから、いつしか、そう呼ばれるようになった。それはさておき、私は逢乃からの質問に応じる。 「中庭だよ」 ひとこと、告げる。でも、逢乃は納得しない。 「うっそだぁ、あたし、中庭にいたけど、アオハルちゃん、見かけなかったよ?」 え、と、思わず声を上げる。そういえば、さっきから首元がゴワゴワする。タオル?広げると、信じられない文字が目に入る。 「RUIBOSU SPECIALLIVE(ルイボス スペシャルライブ)」 このタオルを見て、私の中ですべてが繋がった。 私は、ここ青森から東京まで歩いていった。東京まで歩いて、ルイボスのライブに行った。 「はい?ちょい待って?なんで東京まで歩くの?」 ガバッと起き上がり、思わず夢の内容に突っ込む。でも、おかげで起きられた。 ベットから這い出て、床に降り立つと、何かを踏んだ。 広げてみると、水色のタオル。不審に思い、裏返した瞬間、私は鳥肌が立った。そのタオルには、「RUIBOSU SPECIALLIVE」とロゴが入っていた。 そう、このタオルは行ったこともないルイボスのライブ限定タオルだった。