だから、今日も笑う君を描く
笑って、泣いて、怒って、ふざけていた日々が、アスファルトとタイヤが擦れる音の中で流れてきた。 私が唯一愛した人は、 目の前で死んだ。 「え...?優..磨?優磨ぁぁぁ!!」 今日は本来、幼馴染の優磨と一緒に絵を描く予定だった。待ち合わせていた大きめの公園に行った。 「まった?ごめんね」「ううん!」 私たちが他愛のない会話をして、そろそろ行こう、という時だった。 文字に表せない嫌な音が響いた。 優磨は、トラックの事故に巻き込まれて、死んだ。いや、正確には、事故が原因で死んだ。ほんの数分は確かに生きた。「沙優..約束守れない..かも。...ごめん..。幸せに..なれよ。あいし..。」事切れた。あまりにも悲惨な最期だった。 数日後、悲しみも、苦しみも、怒りも通り越した感情になった。やけに冷静だった。恐ろしいくらいに。 最期の言葉について考えた。“約束” それは多分、私たちが5歳の時にした無邪気な話しだと思う。 『ねぇ!ゆーま!さゆーたちは、ずっとずっと、いっしょだよ!』 『うん!さゆー、やくそくだよ!』 あの時は何も考えずに言った。 『ずっと一緒にいる』と。優磨は私の笑っている所が好きだと言ってくれた。私はまだ、優磨に何も言えていない。沢山ある。優しいところも好きだし、かっこいいのに可愛いとこも、頭がいいのに少し天然なところも。大好きだったのに。 「まだ、言えてないのに。」 そんな君に笑ってほしくて。優しく撫でてほしくて。私は笑っていたようなものなのに。 今日は優磨が死んだ、あの公園に来た。優磨の顔が浮かんで消えた。 優磨を描こう。あの、私が一番好きだった、笑っていた優磨を。 20年後、私は優磨を描いている。 そうしていた方が、気持ちが楽なんだ。そして何よりも、優磨が生き続けている気がするから。 私は今日も、笑う君を描く。