あなたがいなくなって初めてのクリスマス
私には悠宇という小児がんの娘がいた。これは1年前の話。私の名前は彩月。 悠宇はまだ4歳で、小児がんと診断された。余命は1年のみ。せっかく私は悠宇に出会えたのに。悠宇と家族になれたのに。 悠宇は何も知らず、父親、晴翔とお人形遊びをしている。悠宇は入院しているから、毎日お見舞いに行っている。 だけど。ある日、晴翔が悠宇のお見舞いに行けないと言い出した。社長との飲み会を断れなかったという。 「晴翔の誰にでも優しいとこはいいとこだけど、社長より悠宇の方が大事でしょ?悠宇は余命1年だよ?もうあと1年しか一緒にいられないかもしれないんだよ?」晴翔はおかしい。自分の娘が病気だっていうのに、飲み会だなんて。 「悠宇が死ぬみたいな言い方するなよ。何も知らないくせに。悠宇のことも俺のことも。」あり得ない話だ。自分の娘は後回し、自分優先、ましてや悠宇は病気でわずか1年の命。そして私が悪いみたいなことを言ってくる。 「晴翔、悠宇は何があってもおかしくないの。会えるうちに会おうよ。」私はどうしても悠宇に会いたかった。 晴翔を説得している時、電話が鳴った。「悠宇ちゃんのママですか?悠宇ちゃん、緊急手術します。」と看護師さんからの電話だった。悠宇の病態が悪化したんだ。私は晴翔と、悠宇のいる桜田総合病院へ急いだ。 「悠宇ちゃんはオペで余力をたくさん使ってしまい、クリスマスまで持つか持たないかくらいでしょう。今度のクリスマスが最期でしょう。クリスマスは悠宇ちゃんをお家に帰します。」と言われ、「お母さん、お父さん、あなたたちはまだ若い。悠宇ちゃんがいなくなっても、子供は産めますから。」とひどいことまで言われた。みんなは悠宇のことを大事に思ってくれないのだろうか。大丈夫、悠宇はきっと良くなる。悠宇はまた元気になる。私はそう言い聞かせていた。 でも、悠宇の容体は日に日に悪くなっていくばかりだった。クリスマスイブには車椅子で家に帰ってきて、やっとクリスマスツリーを見た。「パパ、ママ、ありがとう。」なんて悠宇が言うものだから、私は、「悠宇?」と涙を流しながら聴いた。でも悠宇から返事が来ることはなかった。 「メリークリスマス。」今年のクリスマスは晴翔と2人。悠宇を思い出しながら。