短編小説みんなの答え:5

そ う じ ゃ な く て .

「なに、好きな人のことでも考えてんの?」 「え、え? いや、そんなんじゃないよ? ただ、仲良くしたい人がいて......」 「ほお?」  ニヤニヤする彼を見るに、信じてないっぽいな、と思う。  冗談は通用しないものか。 「まあ、俺も話しかけるの緊張したなぁ~」 「......誰とー?」 「ん?好きなやつ」 「......へえ。じゃあ、もう仲良いの?」 「まあ、そいつがどう思ってるかは別として、俺的には結構いい感じかな」 「ふうん。じゃあ、まだ付き合ってないんだ」 「うん、そーなんだよ」  ちょっとだけ、ほっとしてしまう。ちょっとだけ、期待してしまう。  そんな気持ちから、 「このクラス?」  なんて聞いた私が馬鹿だった。 「いや、隣のクラス」 「あぁ、そっか~」  可能性ゼロパーってこと。  私なわけないか、そりゃあ。 「頑張ってね」 「おう! お前も頑張れよ!」 「......うん、ありがとう」  そうじゃなくて、私が好きなのは君なんだよ。  貴方に好きな人がいるって分かった上で頑張れるわけないし、貴方のためにも頑張れないや。  複雑だなぁ、、。  笑って誤魔化していると、  彼は唐突に「あ」と目を輝かせた。  廊下を歩く、一人の可愛らしい女の子。 「噂をすれば、例の隣のクラスの女子」  ドキッとする。「そう、行ってくれば」と私が言うより先に、 「んじゃ、俺行くわ!」  と私の隣から腰を上げ、私に向いていた瞳はキラキラと光りながら女の子へ向く。  ほんの一瞬で、私の隣は空席になった。  肩をポンと叩いて笑いかける彼に、彼女は少し驚いた後、頬を赤らめて幸せそうに笑う。  両想いなんだな、とすぐに分かった。  そっか、そうだよね。  分かっているのに、心がなぜか追いつかない。 「......へへ」  口から零れ落ちた私の笑い声は、驚くほどに渇いていた。  ......どうしてかな。  目頭が熱い。

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