儚い恋心
俺の名前は、コンドウ。珍しい名前だ。 この名前を持つからか、周りからはよく避けられていた。 名前だけで避けるって頭どうかしてるよな。 でも一人だけ、普通に接してくれた人がいた。 俺の親友だ。いつも一緒。 一緒じゃない日は珍しい。そしておしゃべり大好きだからうるさい。 でも、離していて楽しい相手はアイツだけだ。 別々のクラスだけどいつも帰る約束はしていて、俺は今日も校門の近くでアイツが来るのを待っていた。 「ご、ごめん!お待たせ!待ったよね」 ゼェハァと息を切らして走って来た。やっと来た。 「遅かったな。どーせ先生の長話だろ」 「そーなの!よくわかるね!」 コイツの担任はクソってほどめんどくさいヤツだ。そんくらい分かってる。 「んじゃ、帰るぞ」 「うん!」 待ちに待った帰り道だ。どれだけ楽しい遊びでも、どれだけ楽しい授業でも、コイツと話しているほうが全然楽しい。 コイツはいつまで経っても笑顔を絶やさない。 俺が話すたび、ずっと笑ってる。 花が咲くような笑顔に、俺は癒される。 その思いに、俺はなんだか引っかかりを感じた。 なんというか、言葉にできない思い。引っかかりがある。 分からないまま、俺はずっとコイツと話していた。 「じゃあな。また明日」 「うん!絶対一緒帰ろ!」 いつもの分かれ道で別れて、別々の道を歩く。 この時間がもどかしい。ずっと話していたかった。 でも仕方ない。俺とアイツの家は遠いからな。 さて。今日の晩飯は…。 と、いつものように晩飯のことを考えていたトキだった。 キキ―――――ッ! 耳をつんざぬくほどのブレーキ音が、耳に突き刺さった。 俺は…………なんだか、胸騒ぎがした。 いてもたってもいられなくなって、俺は元来た道を引き返した。 音からして…………アイツが行った道だ。 そして。 俺の胸騒ぎは…………的中した。 「…………?」 目の前に、倒れている人がいた。 よく見れば、アイツだ。 ザワワッと全身が震えて、俺は飛びついた。 なにもかも理解した。 パンクしたタイヤ。 木にトツゲキしている軽トラック。 なによりも、俺はコイツのことで頭がいっぱいで仕方なかった。 「目ェ覚ませよ!なんでっ…どうしたんだよ!おい死ぬなよ!」 なんども体を揺らして、声をかけるが、ビクともしない。 俺は震える腕で、口の前に手を当てた。 息をしていない。 それが分かったとたん、視界が一気ににじんだ。 明日の約束、どうするんだよ。 今死んで。俺、独りぼっちだぞ。 「…………なにしてんだよ。バカ。バカ優」 そうだ。 今日の引っかかった感じ。今分かった。 俺は、恋をしていたんだ。 親友の…唯一話せた、男子友達の………優に。