短編小説みんなの答え:1

神。

人々は神を信仰し続ける。 どの民族でもそうだ。 姿形は違えど、音楽と宗教がない民族だけは存在しない。           神。 人々の絶対的存在であり、人々が超えられないものであり、我らが恐るべきものであり、 幻と言い切るべきもの。 矛盾している。 だってそうだろう。 人は神を利用するのだ。 「お前が何もできないやつだから神がお怒りになったのさ!だからアイツは生贄になってしまったんだ!」 「何をいっているの?1日1回の礼拝すらできない貴方のせいでしょ…!」 人は醜い。 怒鳴りあって責任をなすりつけあうその姿は本当に醜くて、神様に見せるのは到底恥ずかしくてできない。 神を信仰するくせに、そこまでは皆頭が回らないようだ。 「悪く思ってはいけません…愛される運命ではなかったのです。だから生贄になったのです。」 何が生贄か。災害にどうしようもなくなって 自暴自棄になって文明を戻し、神頼りでしかないこの殺戮を。 いや、神頼りでもない。罪を隠したいのだ。 その為にまた人は神で罪を紛らわすのだ。 何が尊敬だ。 何が信仰だ。 お前たちに、神はわからない。 神はものじゃない、お前たちなんかのものじゃない。 こんな世界じゃ、私は本当の神を信仰はできない。 神の平等な愛が届いてこない。 そんなの、許されない。 愛される運命ではない? 笑わせるな。 神は平等なのだ。 神は人々を分け隔てなく愛してくれる。人は愛さなくても、神なら、 神ならば、私を、愛してくれる。 私は、そんな神を信仰したんだ…。 もう、独りは、嫌なんだ… 愛してくれ、誰か…… 誰か、誰か…… 私を、愛してくれ。 「私、あなたを信じるよ! 「…?」 どうして。 「だって意味わかんないもん生贄って! そんなのやって何の意味があるんだか!」 ああ、意味はない。 「そのシスターも酷いよ!愛される運命じゃなかったとかさ! そんな人いないよ!」 どうして、そんなことを言ってくれる、 人間のくせに。 そして目の前の少女は私の手を握ってこういった。 「だって私があなたを愛してあげるから!」 途端に力が抜けて、頬の水が涙なのだと認識するのは時間がかかった。 「だから、出よう、ここから。」 女神の微笑みだった。 優しい眼。笑み。 その日、シスター見習いと生贄の神父見習いは脱走が確認された。  

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