短編小説みんなの答え:3

いなくなる権利

僕はある病院で働いている医者 子供からご老人まで、毎日いろんな患者さんがくる 今日は夜残って患者さんの見回りとかの仕事をする コツン…コツン… 夜の廊下は暗くて明るい時とは真逆の顔を見せる 着々と見回りを済ませて最後の病室 ガラガラ… 布団で埋もれた枕元が少し明るい、ゲームしてたなあー? 「こーら、ゆうくん夜ふかしは体に毒だよ」 「えっへへごめんなさいれん兄、でも少し寂しいよ何かお話してよ」 それから色々な会話をしてゆうくんとお別れして残りの仕事を済ませた それから月日は過ぎて…色々な人が退院していく中でゆうくんは…退院できないでいた ゆうくんは少し元気が無い…あまり笑わない (どうにかしてゆうくんには元気になって欲しい…どうすれば) 常にそればかり考えていた 今思えば僕は、ゆうくんと病死した弟を重ねて見ていたのかもしれない ある日の見回りの日、月が美しい日 ゆうくんの病室に入ると冷たい風とすれ違った ゆうくんが開けた窓に座っていて床には一つの紙があった すぐにゆうくんを窓から引き離した 「なにをしてるんだゆうくん!…そんなことしたら死んじゃ…」 「いいんだ」 ゆうくんの目は漆黒に澄んでいて、何も写していなかった 「僕もう…つらいんだ、何もかも」 「つらいって…でも死んだあとで後悔は出来ないよ」 「…」 「だからほら」 僕はゆうくんに右手を差し出した ゆうくんは…僕の手を振り払った 「もういいんだよ!なんでだよ、れん兄は何も知らないのに!前に父さんと母さんが僕の治療費の事で揉めてて、廊下で話してた医者が僕は助からないって言ってて…もう、いやなんだ!」 …ああ…僕はいつの間にか…ゆうくんの事を知った気になっていたんだな 「生きる事ばかり…押し付けないでよ…僕に死ぬ権利を…いなくなる権利をちょうだいよ!」 ―ビュオッ ゆうくんは…空を飛んだ…ほんの少しだけ ―ドサッ 僕はどうすればよかったんだろう ゆうくんにとってはこれが望んでいた事… だけど…それでも…生きて 生きていたよかったって言えるような…そんな 人生を… 『これを読んでる人と父さんと母さんへ 僕はもう生きていたくありません だからバイバイ もう心配いらないよ大丈夫 だけど、生きていることだけが全てじゃないって理解してほしかった いなくなる権利が欲しかった たったそれだけなんだ 七瀬 勇輝』

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