月と太陽
今日も1人、駅へと歩く。 暗闇の世界に人の気配は感じられない。 一歩進む度にペースが落ちている。 きっと、体はわかってるんだ。 こんなこと、やめなきゃいけないと 姉が死んだ。 事故だった。 私を庇って、車に惹かれて… あの日からもう3年。 今でも思い出す。 苦く、くるしいあの瞬間を いつも通りの日々だった。 毎日、姉を駅まで迎えに行っていた。 姉さんが帰ってくるのはいつも終電。 私の姿を見つけたときのあの笑顔は、 今でも脳裏に焼き付いている。 その日も姉さんは終電で帰ってきた。 いつも以上に疲れてたんだと思う。 その日の姉さんは活気が薄かった。 『大丈夫?』そう声をかけたとき、 姉さんは笑って頷いた。 その直後だった。 私がよろけて車道に転んでしまった。 そこへ運悪くトラックがやってきた。 “死” 咄嗟に頭をよぎったその言葉。 けどそれは、私に降り掛からなかった。 そのかわり…そのかわりに、 そこには倒れた姉さんがいた。 姉は太陽だった。 明るく、そして優しい。 みんなを照らすあたたかい光。 私は月だった。 暗く、どこまでも冷たい。 優しさの欠片なんてない。 そんな私を、姉さんは好きだと言った。 月には、太陽以前の優しさがあると。 そんな私が大好きだと。 月は太陽があるから光っていられる。 僅かな光を照らしている。 それと同じ。 姉さんがいないと、わたしは輝けない。 それから毎日、私は駅へ行く。 もう姉は帰ってこない。 けどそれは、嘘だって信じてる。 またいつもみたいに笑って、 出てきてくれるって、信じてる。 また、昔のように、 私を輝かせてくれる。 私の姉は、そんな優しい人だから。
みんなの答え
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すごい
めちゃくちゃすごいです 読み終わった後、タイトルの「月と太陽」ってそういうことか!って思ったです 切ないお話ですね… 語彙力すさまじぃですね ちとせ.さんの短編小説、また読みたいです では