あの子は、いつまでも可愛い。
俺には気になる女子がいた。その女子とは、白雪鈴(しらゆきすず)のことだ。鈴は、腰まであるつやつやした黒髪の持ち主で、顔立ちも華やかな、だけどはっちゃけていないし、その可愛さを鼻にかけることもない、いわゆる清楚系だ。クラスの学級委員長で、頼りがいのある女子だった。 同じクラスになってから、俺は鈴から目が離せなくなっていた。それに、鈴は歌がうまいことも知っていた。昼休み、鈴はよく図書室に行っていた。そして、本を読みながら、流行りの曲を口ずさんでいることが多かった。俺は、電流を打たれたような感覚に陥った。 「…お前、早く告れよ」 呆れたように呟いたのは、俺の親友兼唯一俺の理解者である時久翔琉(ときひさかける)だ。翔琉はおもむろに足を組み直すと、当然のことを言うような口調で喋りだした。 「白雪は人気だから、早く告んないと誰かに取られるぞ。」 「…そうなのか?」 「あったりめーだろ!それもライバルはみーんなイケメンばっかり。今一番濃厚なのは3組の神宮寺だぞ」 俺は、翔琉に衝撃的な事実を突き出された。 神宮寺、神宮寺風雅だ。あいつこそ、鈴にふさわしいやつだった。 「…俺、白雪のこと、好きにならない」 「はい?なぜ神宮寺の名前が出た途端諦めるので?」 翔琉は信じられないものを見るような目で俺を見た。 「ちゃんと諦めがついたよ。ありがとな、相談乗ってくれて」 俺は席を立つと、あんぐりと口を開けた翔琉を鼻で笑いながら図書室を出た。俺が座っていた席は、鈴がいつも座っている席だ。そして、決めたのだ。白雪を、今から図書室に呼び出す、と。 「…ってゆー訳」 「はーっ、いつ聞いてもいいもんね、タク兄の出会い秘話」 俺は今、妹にうっかり妻との出会いの秘話を話してしまった。一応、「鈴にはいうなよ」と釘を差しておいたが彩楓(あやか)のことだ。すぐに言うだろう。それにしても、と彩楓が話を切り出す。 「なんで、好きにならないって言ったの?相手は超イケメンなんでしょ?」 「神宮寺のことか?あいつ、退学になったんだよな。万引きして」 「…つまりタク兄は、そのこと知ってたから告白したってわけ?」 なるほどー、タク兄も頭使ったねと呟く彩楓には、反応せず、俺は缶に残っていたビールを飲み干し、彩楓にも分からないような小さい声でつぶやく。 「あの子は、いつまでも可愛い」
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すごい
めちゃくちゃキュンキュンしました タイトルが分かりやすいしセンスがあると思いました