【病系小説】 disqualification
女はずっと人と一緒にいる生涯を送っている。 一番古い記憶が残る2歳の時には妹がおり、その後も弟が生まれ、常に人と過ごしていた。物心付き甘えざかりの時代を、妹や弟に取られ、正しい甘え方を知らずに育った。姉としての威厳からか、齢に対してそれ以上の学力や道徳を持っていた。 甘え方を知らずに育った女は、中学生になり、彼氏ができた。彼氏は、学年で少々問題を起こすタイプの人間だった。だが彼は女のことを愛していた。端正な所作、冷淡な指先に溺れていたらしい。女は、彼が自分のことを好いていることに気がついていた。そして、愛されること、愛することへの憧れから、「彼氏がほしい」とわざとらしく嘆き、彼に告白させ、付き合うことになった。 愛されること、愛することに焦がれ、女は彼に蜂蜜のようにねっとりした甘い言葉をかけつづけた。彼氏は、女に見合うようになりたいという思いから、問題行動を減らしていき、周りからも「優しくなった」と言われるようになった。 女は受験を控えた。塾では皆、机に向かって一生懸命勉強する中、女は持ち前の要領の良さからサクサク知識をつけていき、家であまり勉強をせずとも成績を維持し続けていた。恐らくこつこつ勉強していたら、上位10%に入ることができるのだろうと、女も塾の講師も察していた。女はせっせと勉強し始めたものの、要領の良さから「コツコツ重ねる」行為を今までしてこなかったため、自分がやっていることを理解できなかった。解ることをやってどうすると思っていたのだ。女は気づいていた。自分は努力の才が無いのだと。 女は自分は賢いと思っている傍ら、自分は頭が悪いと思っていた。それがゆえ「結果にならずとも努力できたなら良い」という価値観を持っていた。しかし自分が努力ができないことに気がつき、「人としてどうなのだろう」「失格だろう」と感じたのだ。 彼氏を振った。人間じゃない自分と付き合わせるだなんて愚かだと考えたからだ。 友人に冷たい言葉を落とした。何故か寄ってくるあどけのたらない人間たちに平静を装い騙す行為が醜いと考えたから。それでも人間たちは寄ってきたが。 「やればどこまでも誰よりもできる」 自他共に感じているが、 「やれない」ことを知っているのは女のみだった。そんなすれ違いから、どんどん周りとの摩擦が増えた。 母からの期待、塾の課題の量、友人からの励ましや根拠のない「大丈夫」の言葉。女に打つかっては摩擦し、女の心は剥がれ落ちた。 女はずっと独りよがりな生き方をしていた。 ーーあとがきーー 「行間を読む」ことを意識してもらえると、この物語が、女が、より理解できると思います。また、ご自身の解釈次第で女のイメージは変わるでしょう。正解はありません。貴方の思い描く解釈の小説にしてください。 拙著お読み頂きありがとうございます。