短編小説みんなの答え:1

美しい世界へ願う

人類が絶滅危惧種となった。 理由は簡単、天災と感染病だ。 人類は大きな厄災2つに襲われた。一つは氷河期。地球全体が氷に覆われ、辺り一面の銀世界に人間は順応できなかった。 二つ目は謎の感染症。全く発見されなかった未知のウイルスが人類を襲った。感染経路は不明。人間にしか感染しないらしく、生物実験なども滞った。結局人類は完全隔離でしか対抗できず、世界中が力を合わせ協力した結果、ウイルスは絶滅し世界人口はおよそ1000分の1となった。 それでも人類は復興を願い、懸命に戦っていたが、今度はまた謎の感染症が流行り、命に別状はないものの、ほとんどの人が生殖機能を失う事となった。 自分たちの代でヒトは絶滅するだろう現実に、世界は全て諦めてしまったようだ。 現在はテロも犯罪も起きず、平和で、ただ滅亡を待つ日常が続いていた。 「いやあ、相変わらず寒いな。」 隣にいたマキノが呟く。 「手を出しているからじゃないか?いい加減やめたらどうだ、何を残したって、人類にもう未来はないんだぜ。」 「ははは、そうかもな。でもこの氷河期を終えたあと、もう一度人類が誕生するかも知れないだろ?その時に生まれ変わった僕のもとにありとあらゆる便利な道具がないなんて耐えられないな。」 「お前だけだよ、そんな未来信じてんのは。」 「そりゃ光栄。いち早くこのメモを見つけ出すのはきっと僕だね。」 もうメモどころではない物量をマキノは書き残している。科学、数学、医学に歴史、人類が滅亡を確定されてから、こいつは人類の軌跡を書き残してきた。 元々小さな古本屋を営んでいて、情報を集めるのにはさほど困った様子は見せなかったが、専門的な知識となると別だろう。きっと、俺と出会う前から、たくさん情報を集める旅をしてたのだろう。 「まあ今日は終わりにしてもう寝ろよ。凍死したって来世は来ないぜ。」 「それは怖いな。寝るとしよう。」 そう言ってマキノは眠りについた。 翌朝、朝とも分からない暗さの中、寒さの中俺は起きた。 起きるといつも遅く起きるはずのマキノはいなくて、かわりにドアが開けっ放しだった。 急ぐようなことがあったのだろうか、と思い外へ出ると、すぐそこにはマキノがいた。 「おい、そんなとこで何してるんだよ。ドア開けっ放しだったぞ。」 「ごめん、見てたらぼーっとしてた。」 「見てたって、何を?」 「ほら、前見てよ。もう夜が明けそうだよ。」 言われるがままに前を向くと、ほんの少し顔をのぞかせた太陽が見えた。 そんな少しの顔から放った光は、まっすぐに伸びた地平線を一気に照らし、ほんの少し、俺たちの顔を火照らせた。 「久しぶりに見たな…きれいだ。」 「だろう?僕も久しぶりに見た。」 二人の間にしばらくの沈黙ができたが、居心地の悪くない沈黙だった。 「もうずっと、見てなかったな。自分じゃ分からなかったけど、余裕なかったんだろうな。」 「そうだな…諦めたから余裕ができるわけじゃないのかもな。」 「それもそうだけど、ほんとはみんな諦め切れないのかもな。」 「冗談言えよ、お前以外に諦めの悪い馬鹿いるか。」 「いいや、君も諦めの悪い馬鹿だ。」 言葉に詰まった。案外そうかも、と一瞬思っていたからだ。だがそんなことはあるはず無いと、頭をぶんぶん振った。 「俺は賢いからな、お前みたいな夢は見ねえ。」 「じゃあ賭けるか?人類の未来を。」 「結果の分からない賭けがあるか。」 「じゃあ勝負しよう。」 「なんの。」 マキノは背後を指さした。 「来世であのメモを早く見つけたもの勝ちだ。」 「…はは、その勝負乗ってやろう。」 目に希望の光を湛え、お互いに笑みを浮かべた。 「だけど俺ら以外が見つけたらどうするんだ?」 「その時は…僕らのどっちかが見つけたことにしよう。」 「前世の人が報われねえな。」 そう言ってひとしきり笑いあったあと、半分ほど顔を出した太陽の光をしばらく見つめた。 「さあて、飯の準備は手伝えよ。」 「僕は夜明けの星の手記を残すことで忙しい。」 「じゃあ雪でも食うことだな。」 悪態を付きながら朝食の準備を始める。 そんな時間でふと思った。 次生まれ変わる世も、この美しい地平線の世界だといいな、と。

みんなの答え

辛口の答え

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すげぇ

面白かったし報われないのは悲しすぎるそう思いました。゚(゚´ω`゚)゚。


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