一角獣と滅びる世界
外から小鳥の鳴く声がした。 「・・・もう朝ぁ?」 眠い目をこすりながら、ベッドを出る。 村の中央にある井戸へ向かい、水を汲む。そして近くのベンチに座っている、爺様(村の長老的な人だ)に挨拶をする。これが私の朝の日課だ。 「おはようございます。爺様」 「おはようユーリア。今日も朝から元気だねぇ」 私は爺様の話を聞くのが好きだ。 いつも私の知らない話をしてくれる。今日は何を話してくれるのかな。 「ユーリア、一角獣を知っているかい?」 「想像上の、馬に角が生えたような獣ですよね?知ってます。」 「うーん、惜しいね。じつは、一角獣は実在するんだ」 唐突に突きつけられた事実に、頭が追いつかない。 「混乱するのもわかるよ。私も初めて聞いたときは、腰を抜かしたよ」 そりゃそうだ。私だって今の今まで知らなかったし・・・ 「話の続きをしようか。じゃあ、一つ質問をしよう。なぜ、一角獣は存在すると思う?」 そんな変な質問・・・見たことだってないんだから、わかるわけがない。 「じゃあ、答えを教えてあげよう。一角獣は、世界の調和を保つために生まれたんだ」 突飛な答えに、また頭が追いつかなくなる。 「一角獣の息には、不思議な成分が含まれているんだ。その成分には空気を清らかにする特性がある。さらに歩いたところには 草木が生い茂り、座ったところには水が湧く。かつては焦土だったこの星を、作り直すために神が与え給うたのさ。」 ・・・え?神?一角獣って、そんなにすごいの? 「はっはっは。何を言っているかわからないという顔をしているね。」「わからないのも当然です!」 「まあ、一角獣が棲んでいるおかげで、このあたりは緑にあふれる、いいところだ。けどね・・・」 「けど?」 「ユーリアはこの村の外に出たことがあるかい?」 あっ。 今まで一度も、この村の外から出たことがない。友達もたくさんいるし、住んでいて不便に思ったことは殆ど なかった。だから、村の外のことなんて、考えもしなかった。「その様子じゃ、ないみたいだね。」私はうなずいた。 「ユーリア、この村の外にはしばらく森が続いているが、もっと進むと、大きな街がある。その街には「ビル」という、 鋼でできたとても高い建物が並び、「車」という鉄の馬車が闊歩している。街は澄んだ空気を泥のように汚くし、森を 伐って新しい街を作る。もちろん、一角獣のすみかも。」 「そんなひどいことが・・・」 「あるのさ。街の連中はそれを何知らぬ顔ですすめ、一角獣でさえ殺す。 そのせいで、最近この辺りにも、害が出てきた。」 たしかに、最近は作物の実りが悪いらしい。 「このままでは、あと少しで一角獣は絶滅し、この世界は滅ぶだろう。」 「そんな・・・!」 「けど、私はあともう少しでなくなる命だからね。後のことは、ユーリアと若い世代に任せたよ。」 私にできることなんて、あるのだろうか。こんな小さい村の小娘に・・・ 「大丈夫。私はユーリアのことを信じてるよ。私がいなくなっても、諦めず、頑張ってくれ。」 そんな優しい声に背中を押され、私は覚悟を決めた。 「わかりました・・・私が、世界を変えてみせます!」 一角獣はいませんが、今本当に、同じことが起きています。これを見た人は、スマホの設定を節電モードに変えてみましょう。 それだけども、世界を変えられます。 (気に入ってくれるとめっちゃ嬉しいです!)