Ella
0時になった。 ずっとあの人だけを考えて、苦しんだ。 魔法が解けるのを、 怖がった。 あなたを好きになってしまった「恋」の魔法。 その魔法が、今,解けた。 せめてもの願いをこめて、口紅で色を足す。 つり合う物が在るために。 故意に、恋に落ちた。 故意に焦がれるように、恋に焦がれるように、 灰になる。 「もっとあの時話していたら、」 「もっとうまく笑えていたら。」 そんなたらればの妄想 「もっとあの時積極的になっていたら、」 「もっと自分のことを話せたら。」 やり直しは無い 戻れない。 そんな当たり前のことを、 忘れていた。 別れた今になって分かれた。 一緒におどれた時間、微笑み合った時間。 すべてが暖かくて大切な宝物なのに、心のどこかで、 本当の自分ではない自分が王子様の目に映っている寂しさを感じて。 ガラスの靴のように、本来の自分にあるべき、用意された幸せ。 妄想ばかりふくらんでいく。 曖昧で、形が無く。 オチついて。 妄想をやめようと、焦る自分。あぁ、本当に 落ち着いて。 私の愛している人を取ったあの子。あぁ、本当に 堕ち突いて。 王子様を信じようとするたび、いいことも悪いことも すべてが頭の中を駆け巡っている。 ぐるぐると考えていたことは薄れ、また 王子様の腕の中へと、沼へと、落ちていく。 魔法にかけられた 自分 と元の 自分を比べた劣等感。 長く、そして儚い幸せに終止譜を打とうとする。 0時を過ぎた。 下手な嘘で誤魔化して。 どんどん顔が青ざめていくのが痛いほど分かる。 白い雪と鏡に問う。 「あの人に愛されていたのは」 みすぼらしい服に戻ったEllaと、華やかなBlance Neighe. 2人を並べ、そうやって鏡に問う。 王子は,キラキラと輝いているEllaが好きだったのであって、 Ella自体を見てくれていなかった。 愛していたのに、愛されていなかった。