*短編小説* 雨女の"しずく"
「はぁ...また雨。」 中1の私・しずくは、大切なときに限ってしょっちゅう雨をふらせてしまう。 文字通りの雨女だ。 いきなりだけど、私には、できたばかりの彼氏がいる。 野球が得意な、蒼空(そら)君だ。 告白は放課後に、私からしたんだけど、やっぱりその日は雨。 もう、嫌になっちゃう。 朝は、「蒼空」という名前に合うような、雲一つないキレイな青空だったのに。 私が、雨女じゃなかったらっ...。 ―このときは、まだ、知らなかった。 あと一週間で私の誕生日。 誕生日は、休日だし一緒に過ごしたい。 蒼空君も、そう思ってくれてたみたいだし。 そして、晴れてほしい。 でも...この願いは、叶わなかった。 蒼空君の野球の試合と重なってしまったのだ。 誕生日当日。 なぜか今日は、晴れた。 もう1つの願いも、かなっていたら良かったのに。 でも、仕方ないよね。 来年、過ごせばいい。 蒼空君の誕生日は、一緒に過ごせばいい。 自分を納得させながら、お気に入りのカフェに向かう。 家族とは午後に過ごす予定だし、それまではテラス席で、読書でもしようかな。 ポツ、ポツ、ポツ、...。 ポツポツポツ、ザザァァァァ...。 席に座った直後、また雨が降ってきてしまった。 あっという間に、土砂降りだ。 これと同時に、RIEN(※誤字ではありません)にメッセージが送られてきた。 「野球の試合、雨で中止だって。だから、そっちに向かうね。待ち合わせ場所、学校の近くのカフェでいい?」 一瞬、思考が停止する。 「しずくの誕生日なんだから、一緒に過ごそうよ。」 目から溢れてくるそれが、ナミダだと認めるのには数秒必要だった。 いつもは、全然泣かないのに、今日は何故か泣いちゃった。 雨女で、よかった。 そう感じた、瞬間だった。 そして、蒼空君が来て、晴れた。 早く雨が止んだのは、目から雫を降らせたからかな―。 あとがき 今回は、初の「恋愛」をテーマに小説を書きました。 この小説で伝えたいのは、「辛くても、違う視点で考えるといい場合もある」ことです。 ちなみに、タイトルの「しずく」は、名前ではなく、涙のことです。 このお話を読んでくれたあなたの今日や明日が、より輝く1日となっていますように。 *意見や感想、お願いします!* by心愛