雪は海に溶ける
「あれ?そんな格好でどうしたの?」 私が制服で海に入ろうとすると、背後から声がした。 人に見つからないように、夜中に来たのに… 今日は適当に受け流して、また明日こよう。 そう思いながら声の方を振り返ると、そこには小柄な女の子がいた。 肩より少し長い黒髪はサラサラしていて、風になびいている様子はとても爽やか。 同性なのに、思わず見惚れそうになる。 だけど今は見惚れている場合ではない。 今は、私がなぜ海に入ろうとしたかを、この子に気づかれないようにようにすることに集中しないといけない。 そう思ったが、結局意味がなくなった。 女の子が、こんなことを言ったから。 「死ぬなら、私と遊んでからにしない?」 女の子は、『私と話しているうちに気が変わるかもしれないから』と散歩に誘ってきた。 気が変わることなんて絶対にないし、こんな初対面の子と話すなんて気まずいから断ったけれど、結局強引に散歩に連れられた。 「ねね!名前なんて言うの?」 爽やかな外見とは少しギャップのある元気な可愛らしい声。 最初のミステリアスな雰囲気の声とは全く違って、少し驚いた。 「中野」 「下の名前は?」 「雪菜」 そう言うと女の子は、顔をぱあっと輝かせた。 「似た名前だね!私、優希美!どっちも『ゆき』って字が入ってるんだね!」 「へぇ」 『ゆき』がつく名前の人なんてこの世にいくらでもいるのに、なんでこの子はこんな大袈裟なリアクションをするのだか。 散歩が始まってから5分も経たないうちに、この子とは気が合わなさそうな気がしてきた。 だけどそう思ったのは私だけらしく、女の子──優希美は、ずっと私に質問してきた。 「誕生日、いつ?」 「9月9日」 「おお!ゾロ目じゃん!血液型は?」 「B」 「へぇ、意外!Aだと思った!」 「よく言われる」 「好きな色は?」 「特にない。強いて言えば、水色かな」 「へぇ!好きな食べ物は?」 「特にない」 そんな調子で、優希美はずっと質問をしてきた。 会話がどんどん嫌な方向に進んで来たのは、ありきたりな質問がきっかけだった。 「ペットは飼ってる?」 「猫がいた」 「か、過去形か…ごめんね…」 優希美が子犬が耳をぺたんと下げたような、しゅんとした表情をする。 クールな感じの顔立ちなのに、こんな表情もできるのか。 なんだか申し訳なくなったから、フォローをする。 「別にいい。全然触れ合わなかったから」 「猫、苦手なの?」 「ううん。触らせてもらえなかった」 「どうして?アレルギー?」 普段の私だったら、そこで適当にアレルギーということにしていたと思う。 だけど、どうせ死ぬんだからと、今日は全部話してしまった。 「お母さんに、嫌われてるから」 「えっ」 優希美が驚いたような顔をする。 こんな明るい子は、家族から嫌われてる人がこの世にいるなんて考えたこともないだろう。 「私、お母さんと血が繋がってなくて…お父さんが死んでから、お母さんに無視させるようになった」 それから、お母さんにされたこと、言われたこと、それを聞いて悲しくなったこと、もう疲れたことを話した。 ひとしきり話し終えると、気づいたら家の灯りから大分離れていた。 優希美は俯いたまま、 「そっかぁ」 とだけ言った。 気づいたら、私の手を強く握っていた。 「雪菜、つらいんだね…」 また、優希美が言う。 「ねぇ、やっぱり、気が変わったり、しない…?やっぱり、海に行くの…?」 やっと顔をあげた優希美は、そんなことを言った。 少しだけ、震えていた。 「うん」 頷くと優希美は悲しそうな顔をすると思ったけれど、なぜか優希美は、すこし安心したような顔をしていた。 「よかった。これで、ひとりぼっちじゃなくなる…」 優希美が、ぼそりと呟く。 聞こえたけれど、聞こえないふりをしておいた。 なんとなく、認めたくなかったから。 「海に入るなら、ここらへんから言った方がいいよ」 優希美はそう言って、私の手を離した。 私が海に足を入れると、優希美は『また後でね』と言った。 振り返って返事をしようと思ったが、もうそこに優希美はいなかった。 「まあ、いっか。どうせすぐ会えるだろうし」 優希美はきっと、この海の中にいるのだろう。 今日知り合っただけの相手に、もうこんなに会いたくなっているなんて、なんだか不思議だ。 「いま、いくね」 私はそういって、この世にさよならの挨拶をした。 END ──後書き── 最後まで読んでくださりありがとうございました! なんだかはっきりしない小説になってしまいました…(><) 簡単にまとめれば、優希美ちゃんは、雪菜と同じく海で自殺した女の子。 自殺して死んでから、ずっとひとりぼっちで寂しかったから、優希美ちゃんは幽霊となって、雪菜を自分の死んだ海へ誘った。 という感じです それでは!
みんなの答え
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悲
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キュアフレンディです! すごい話! 悲しいけど、面白いね!
悲しいね…!
こんにちは♪ タイトル読んだ時,雪は海に溶けるってどう言うことかな? と思ったけど,物語読んだらよくわかって,めっちゃ悲しいけどすごいなって思いました。 読んでくれてありがとう☆ じゃねー^ - ^