短編小説みんなの答え:3

願いの叶わなかった姉に叶えて欲しい、僕の願い。

・水瀬類(みなせるい) ・水瀬実生(みなせみお) 「やーいオカマ、女子トイレに入らなくていいのかよー!」 小学生の頃、よく言われていた言葉だ。男子トイレで用を足そうとしたとき、クラスメイトにからかわれたのだ。からかわれているのは多分、僕が髪の毛を伸ばしているから。僕は髪を伸ばしていて、今は鎖骨あたりまである。女の子と間違われることも少なくない。それでも、僕には髪を伸ばし続ける理由があった。 僕には少し年の離れた姉が居る。姉は誰に対しても明るく、優しく接する人だった。そんな姉が小学校に入る少し前、異変が起こった。突然の入院の後、姉は小児がんと診断された。退院日は延々と延び、姉が小学校に通えたことはなかった。辛い治療によって、姉の艶やかな髪はあっという間に抜けてしまった。 そんな姉のためにできることはないかと、小学3年生の夏、僕はヘアドネーションを始めた。姉にその事を伝えると、姉はとても喜んでくれた。そして七夕の短冊には「治療を頑張って、類の髪で作ったウィッグを着けられますように」と書いてくれた。 それからというもの、僕はずっと髪を伸ばし続けていた。飽き性で面倒くさがりな僕だが、毎日のシャンプーやドライヤーも僕なりに頑張った。 しかし。 姉が院内学級の中学校卒業を目前としたある春の日。 姉の容態が急変し、長年の治療のかいもなく亡くなった。 小学校1年生から中学校3年生までの9年間、病気と闘った姉。 小学校にも中学校にも全く通えなかった姉。 手術の前日、僕がお見舞いから帰った後にこっそり一人で泣いていた姉。 手術後にも関わらず、院内学級で一生懸命勉強していた姉。 辛い辛い治療にも弱音を吐かず、最期まで闘い続けた姉。 僕の髪で作ったウィッグを着けたいと、楽しみにしていてくれた姉。 病室を訪ねるといつも笑顔で迎えてくれた姉。 たくさんの姉の姿がまぶたの裏に浮かんで、目頭が熱くなった。 ー数年後。 大学生になった僕は、様々な理由で学校に行けない子供たちのためのフリースクールでボランティアをしている。 僕の髪で作ったウィッグを姉に着けてもらう夢は叶わなかったけれど、今も僕はヘアドネーションを続けている。 姉のような子供を一人でも笑顔にできるように。ただその想いを胸に、僕は生きていきたいと思っている。 もし姉に一言だけ伝えられるのなら、この言葉を伝えたい。 姉ちゃん、ありがとう。 姉ちゃんのおかげで、新しい夢ができたよ。 でもやっぱり、姉ちゃんが死ななかったら良かったのにっていう想いは隠せない。 姉ちゃん、1つだけ、願いを叶えて欲しい。 姉ちゃん。戻ってきて。 ーーーーーーーーーーーーーー 最後まで読んで頂き、ありがとうございました! 感想・考察待ってます!

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