神秘な魔法と現実と
魔法……。 あなたは、この言葉にどんな魅力を感じる? わたしは、この言葉のワクワクしてどこかゾクッとする、不思議な魅力にずっと惹かれてきた。 そして、ついにわたしは魔法を目にしている。 でも……現実は、そんな神秘的にはできていないようだ。 時はさかのぼること、八時間前。 夏休み明けの教室は活気で溢れていた。 「みなさん、転校生を紹介します。」 担任の山本先生がそう言ったからだ。 そして、教室に入ってきたのは、ツインテールの女の子。 「宇佐美まどかでーす!魔女でーす!よっろしくー!」 …………。 そのとき、いつもうるさい教室に静寂が訪れた。 このクセが強めの転校生は、勉強が苦手らしく授業中はおとなしかった。だが、休み時間になった途端に立ち上がり、いきなりパチッ!と指を鳴らした。 なぜ指を鳴らしたのか、そのときは分からなかった。 ただ、指を鳴らした瞬間、教室の雰囲気がガラッと変わった気がした。 なんか、まどかに対して友好的な雰囲気になった気がする。 変なの……。 そんなこんなで授業は終わり、下校の時間になった。 まどかの家ってどこなんだろ? ふいにそんな疑問がわき、わたしはまどかをこっそり尾行することにした。 「ただいまー!」 ドアの向こうの、まどかの声が聞こえる。 それにしても、不思議な家。おんぼろで西洋風で、まるで魔女の館みたい……。 パチッ! どこかで指を鳴らす音が聞こえた。 音が聞こえた方向は、まどかの家の庭で、椅子に座るまどかがいた。 そのとき、不思議なことが起きた。 さっきまで、電信柱の影にいたはずなのに、いつの間にかまどかが目の前にいたのだ。 「ドッキリ大成功ー!!」 まどかは、そう言って笑った。 まどかは、わたしが尾行していることに気づいていたが、わざと気づかないふりをしていたらしい。 「でも、今のドッキリどうやってやったの?まるで、瞬間移動したみたいだった!」 そう言うと、まどかはニヤリとした。 「魔法だよ。自己紹介でも言ったじゃん、魔女だって!」 はあ……!? 「休み時間にも、魔法使ったじゃーん!クラスのみんなと仲良くなれるようにってさ!」 ……。 「信じてよー!ほら、これ証拠!!」 まどかが、パチッ!指を鳴らす。 すると、庭の花がノリノリで踊りだした。 えーなんか、思ってたのと違う……。 もっと、神秘的な魔法を想像してたのに。 すると、わたしの心を読んだみたいに、 「現実は、そんな神秘的じゃないからねー!」 まどかがそう言って笑った。 「イヒヒヒヒ!!」 まどかの変な笑いが、青い空に響き渡る。 やっと魔女に会えたと思ったら、なんでこんなイジワルで変わり者の魔女なの……。 はあ、現実は厳しい……。