短編小説みんなの答え:1

あいつとの約束

私の名前は如月加奈(きさらぎかな) 今から死にます。 死にたい理由は自分でもわからない。ほんと、バカみたいだよね。 今、屋上にいて、死ぬ準備は万端。 私は、友達や家族を捨ててこの世から消える。 とても気持ちがいい。 だって、みんなに嫌われたから。 嫌われたといっても、みんなが悪いわけではない。 私が自ら嫌われようとして、ひたすら罪を犯した。 教室の窓のガラスを割って、先生を困らせたり、 友達に話しかけられても無視をして、 家族には暴言を吐いた。 私、最低でしょ。 でも、これも全部この日のため。 みんなに嫌われたら、私が死んでも悲しむ人はいないでしょ。 そうすれば、未練なく死ねる。 最高な死に方。 靴を脱いで、今から飛び降りる。 「ねえねえ加奈ちゃん、おとなになったらけっこんしよう!」 そこで、ふと、綾との約束が頭に浮かんだ。 綾は、幼稚園のとき仲が良かった子だ。 でも、小学生になってクラスがバラバラになってから、全く話していない。 幼稚園のころ、綾と私は両思いで、将来結婚しようと約束していた。 将来、か…。 でも、私はもう死ぬんだ。せっかく準備してきたのに、 ここで死なないなんてもったいない。 でも、どうしてもあいつの顔と声が頭から離れなかった。 私が死んだら、あいつは悲しむかな。 そう考えると、死んだらいけない気がした。 あいつに会いたい。 気づいたら、あいつの教室に来ていた。 あいつ、いるかな。 教室を覗くと、窓側の端の席に綾はいた。 綾のところに行って、綾に話しかけた。 「ねえ、綾。」 「ん、お前誰?」 そっか。覚えてないよね。幼稚園のときの友達だもん。 「わたしだよ。加奈だよ。」 「おお、加奈か久しぶりだな。」 あ、覚えてくれてたんだ。 「うん。その、いきなりなんだけど綾は私が死んだら悲しむ?」 「そりゃあ悲しむよ。」 綾は、私が死んだら悲しんでくれるんだ。 だったら、死なない方がいいのかもしれない。 「そう、か。そうだよね。」 「それよりなんでそんなこと聞いてくるわけ?」 「わからない。」 「わからないわけないだろ。正直に答えろよ。」 「その私が死んだら悲しむ人なんているのかなって思って。」 「ふーん。」 「それよりさ、綾、あの約束覚えてる?」 「覚えてるけど、ガキんときの約束だし、本気で言ったんじゃないからな!」 「そっか。」 そんな会話をして、私は教室を出た。 そこで、わたしは思った。 もう少し生きてみようかな。 そしてまた、一からやり直そう。

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