あの約束
”かえとぼくがおとなになったらけっこんしようね!” ”うん!かなたとけっこんする!!” ”じゃあ、かえがおとなになるひに、ここのぶらんこのまえにしゅうごうね!” ”わかった!ぜったいだよ!” ”なにがあっても、ぼくがかえのこと、まもるからね!” ”そのときまで、ふたりのひみつだからね!” 秘密の意味を込めて、人差し指で約束をした。 あの日斎藤香恵(さいとうかえ)とその約束を交わしてから16年たつ。 俺、有山奏汰(ありやまかなた)は22歳の一般的なサラリーマン。高卒でサラリーマンになったから、社会経験は豊富な方だと思う。 香恵とは2歳離れていて、家も隣同士。いわゆる幼馴染というやつだ。 ここだけの話。俺は香恵のことが高校卒業の時まで好きだった。 俺の就職の都合で都会に出ることになってからは連絡すら取っていない。 それでもあの約束を思い出して香恵に浸っている。 未練タラタラじゃねーかよ(笑) そんな事をしみじみと思いながら地元に帰る。 今日は成人の日香恵は二十歳の集いに行くはず。 俺しか覚えていないかもだけど、香恵といっつも遊んでいたあの公園へ行く。小さい箱を持って。 午後10時になっても香恵はこない。7時から待っていたのが駄目だった?もっと早く来れたらいたのか? そんな事を考えながらブランコを降り公園を出ようとする。 「奏汰っ!!!」 俺が出ようとしていた出口の反対側から大好きな声が聞こえる。 「香恵…?」 振り返ると振り袖を着て息を切らす香恵がいた。思わず少しの間息を呑んでしまった 「覚えててくれたのか…?」 「当たり前じゃん」 まだ少し息が切れている香恵が言う。 「あのさ、改めてなんだけどさ、 香恵さん結婚してくれませんか?」 「はい、お願いします!」 少しの沈黙の後可愛い笑顔で香恵は言った。 「あと、振り袖めっちゃ似合ってる。綺麗だよ」 顔を赤くして照れる香恵。これから一生守ると、改めて心に誓った。 半年後、香恵と俺の真ん中バースデー。俺の前にはドレスに身を包んだ香恵がいる。 「綺麗だよ。香恵。」 香恵にそう言って、愛してる、何があっても一生守り抜く、そう誓いベールをめくる。