短編小説みんなの答え:1

私の中には、石がある。 例えば嬉しいことがあった時、思い切り喜びたくても、その石が私を押さえつけてくる。この石のせいで、何をしても心の底から幸せになることはできない。 石を取り除こうとしたこともある。大好きな親友とおいしいものを食べてたくさん笑って、石を跳ね除けるくらい幸せになろうとした。 それでも無理だった。石は依然として私を押さえつけ、孤独感から私を逃がしてはくれない。大好きな親友と腹を抱えて笑っているのに、心のどこかでは泣いている。そんな自分に嫌気が指す度、石は重みを増した。 卒業式でも、涙は一滴も出なかった。同級生が震える声で答辞を読み、鼻をすする音が止まない体育館。私の頭の中でも、たくさんの思い出が走馬灯のように駆け巡っていた。 部活の大会で初戦敗退して戻ってきた私に、「食べる?」と親友が差し出してくれた菓子パンの甘さ。校外学習で同じ班の子がくれたゼリーや、その後降った生温い雨。放課後の学校に響くトランペットの音やサッカー部の掛け声、授業中に回ってきた手紙。 大きな感慨に襲われて胸がいっぱいなのに、それでも石は私を押さえつける。いつの間にか、必死になって涙を絞り出そうとしている自分がいた。 卒業式の次の日、親友は死んだ。自殺だった。空は素晴らしく晴れていて、無事卒業を迎えた私達を祝福しているようだと思った矢先、電話が鳴った。張り裂けそうな胸の奥で、それでも石は私を押さえつける。親友が死んだのに涙の一滴も出ないなんて、と自分自身に対する苛立ちばかりが募った。 親友が書いたという遺書に私の名前はなく、ただ家族への日頃の不満が長々と綴られていた。見慣れた文字にするすると視線を滑らせていく。  「ママがため息をつくたび、私の中の石がまた重くなる」 はっとした。彼女も私と同じように石を抱えていたなんて。二人で息ができないくらい笑っていたあの時、お互いに心のどこかで泣いていたなんて。 昨日撮った親友との写真を、縋るように見つめる。そうして、いつも通りの笑顔の奥で彼女が抱えていた石の重さを思い、久しぶりに声が枯れるほど泣いた。

みんなの答え

辛口の答え

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感動

限られた文字数でここまで書けるのはすごい! タイトルも「石」とシンプルなのがいいです 文章の構成も素晴らしいと思います 素敵な作品ありがとうございました


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