短編小説みんなの答え:3

2人の証

『痛っ…』 鋭い痛みを感じた。 みるといつ切ったのか傷ができていた。 血が出ている。…絆創膏、あったかな ポーチを探ると1つの髪飾りがあった。 ふと、柚の香りがしたきがした。 あぁ…と思い出す。胸が苦しくなる。 どうして今、見つかるのかな… 少し、聞かせてあげようか。 この“髪飾り”について 私には彩葉(あやは)という姉がいた。 姉さ…彩葉は本当に明るくて。 学級委員。いつもクラスの中心にいた。 暗くて地味な私とは真逆の存在。 優しくて、ときに厳しくて、、、 彩葉のことを嫌いな人、いないと思う。 誰からも好かれる。そんな人だった。 彩葉は本当に私に甘かった。 いつも距離が近い。異様なほど。 皆、仲いいねーとか羨ましいばっかり。 こっちの身にもなってほしい。 姿を見つける度に寄ってきて。 抱きつかれては「大好き」って… 私もいい加減子供じゃないし、 確かに150センチないけど…高校生だし、 本当に、鬱陶しかった。 鬱陶しい、はずだった。 ある日、彩葉は帰らぬ人となった。 彩葉の友達が家にきて、泣いていた。 両親も泣き崩れていた。 私は泣かなかった。…泣けなかった。 本当に、悲しかった。と思う。 正直、そのことはうまく思い出せない。 ただ、隣に物足りなさを覚えていた。 あの髪飾りは、彩葉がくれた物だった。 『お揃い』そう言って笑ってた。 そんな笑顔が結構好きだったりした。 柚は私が1番好きな香りでさ。 …なんで好きかって? 彩…姉さんの匂いと似てるから。 姉さんも柚のような優しい匂いだった。 甘くて、あたたかい…ひだまりのような。 今でも私が泣くことはない。 それでも、髪飾りをみると苦しくなる。 虚しくなる。 またあの鬱陶しさを感じたい。 そう、願ってしまう。 今日も写真の中の彩葉は笑っている。 その頭にはお揃いの飾りが光っていた。

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