それから数年、思い返してみると
君にあったその日から僕は、大魔王になった。 ある夏の放課後、蝉の声が僕の耳に突き刺さる。「一人でアイスも悪くない」とつぶやく僕は、高校3年の陰キャ男子。誰もいない公園で食べるガリガリ君はいつになく美味しい。アイスを食べ終わり家に変えると、陽気な姉が料理をしていた。僕がソファに座ろうとすると、「あんたは、スーパーに、玉ねぎと牛乳買いに行ってきて!!」と姉さんに言われしぶしぶ僕は家を出た。おつかいを済ませ、スーパーから出ると、君がいた。「来い!!」そう言い、僕の腕をつかみ、がむしゃらに走った。僕は何が起こっているのかわからず、君に引っ張られるだけになってしまった。ひたすら走っていると、君が止まった。そこは、何もない草原だった。ただひたすら春のような風が吹き続ける場所で君は言った。「さあ、選ばれし者、旅に出ようじゃないか」僕は意味がわからずに「は?」と言ったが、その瞬間意識が飛んだ。―――「うわぁっ!!」目覚めるとそこは家のソファだった。「何だ夢か」そう思ってスマホを開こうとすると、君が顔をのぞかせた。「起きましたか!よし!行こう大魔王様!」そう言ってまた、僕の腕をつかみ、がむしゃらに走り出した。