辛さの病
ある日。 この世界に、辛さの病というものが現れた。 学校のチャイムがなる頃、いつもなら朝早くから埋まっているはずの隣の椅子がガラ空きで、一体どうしたのだろうと、あたりを見渡す。 「皆、おはよう。」 「あ、先生ー、永島さん今日居ないですけどどうしたんですかー?」 そんな時、先生が教室の引き戸を音を立てて開けて入ってきたため、クラスのうちの一人がそう尋ねた。 「おぉ、永島なら心痛病のレベル6で休んだぞ。」 「えー、そーなの?」 先生の口から出された言葉、 心痛病 もうどれくらい前か忘れてきたぐらいには慣れてきた病名だが、心に傷を負った者がなる病、とのことらしい。 0から10のレベルで分けられるその病は、空気感染をするため、インフルエンザと同じように強制的に学校等を休ませられるらしい。 「なんだ、アイツ来ないのかよ。」 そんな台詞が教室に響いた。 ーーーーーーーーーーーーーー それからしばらくして、 「…そうですね、利賀さん、」 眼鏡をかけ直す目の前の白衣の男が言った。 どうやら、私は心痛病のレベル9にかかったらしい。 「2週間は自宅にいるように」 そう軽く、いや、虫を祓うかのように言う医師の言葉に押され、己の足は家へと向かっていた。 布団に潜って、暗い部屋の中スマホの電源をつけると、青白い光が顔を照らす。 ネットのつ打ちがたくさん来ており、それらをスクロールしていった。 『利賀さ、どうしたの?』 『なんか、心痛病なったらしいよ』 『え?なに、永島のうつったの?w』 クラスの人たちだ。 直感的な感想はそれだった。 『どーせ利賀のレベル10はうちらで言うレベル0でしょ。早く学校来なよ。』 『こっちは心配して言ってんだよ?』 『仮病とかずる』 音も顔もない単調的な言葉の羅列を乾いた目で見つめて、ゆっくり文字を打つ。 『明日行くよ』 『来るんだ。うつすなよ?心痛病』 『永島はもうしばらくは来ないらしいしなぁ、つまんないの。』 永島。 その名前を見る度にため息が出てきて、身体から空気が枯渇していく。 『永島で遊んでたのに、遊ぶものないんだよなぁ、』 『早く来いよ?』 ぐしゃぐしゃの髪が重力に沿って垂れ下がる。 永島がいるから、自分はおもちゃにされなかったのに。 いつもびしょ濡れの机も、片方だけの上履きも、すべて、自分にうつされた。 辛さの病。 あぁ…やっと気づいた。 病原菌は自分、うつしたのは自分、うつされたのも、自分だった。 …痛い。増してきた。 レベル10の心痛病は、私の首を締めた。
みんなの答え
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怖い!
キュアフレンディです! 私の首を締めた。 が怖いよ!! でも、とてもすごいです!