変身の魔法
私の名前は、日比谷明(ひびやあかり)。尤も、こんな名前が似合うような人間じゃないけどね。学校での私は、空気と同じと言ってもいい。前髪も後ろ髪も長くて、眼鏡で、いつもマスクをして、目立たず、ただ教室にいるだけの、幽霊みたいな存在。部活も入っていないから、私は帰宅部。休日のコンビニバイトも、機械のようにレジ打ち、掃除・・・。この前先生にこう言われた。「日比谷さん、もうちょっと周りとのコミュニケーションを取ったら?高校生活楽しくないよ?」 バイト先の店長にも、「日比谷さん、もうちょっと愛想よくしてくれないかなぁ?店の売り上げにも支障がでるんだからさ、ね。」自分が根暗で、コミュ障で・・・所謂「陰キャ」なのは分かってる。 でも・・・・・・家での私は違う。 「よし、今日はこれにしよう。」 鏡の前に立ち、魔法道具・・・メイク道具を持つ。さあ、魔法をかけよう。邪魔な眼鏡は外して、変わりに目元はキラキラ、ほっぺは桃みたいなピンク色に、鮮やかな赤い口紅を塗ったら・・・・・・あーら、不思議。世界一可愛い顔のできあがり。可愛い服も着よう。柔らかいピンク色のワンピース。ふわふわのレース生地に、たくさんのリボン。地味なあの子はどこへ行ったの?ここには、こんなに可愛い子しかいないよ? そしたら、写真を撮ろう。ネットの世界に上げれば、みんなが誉めてくれる。私のこと、「可愛い」とか「好き」とか言ってくれる。ほら、味方なんてたくさんいるんだよ? 朝が来たら魔法は解けて、またいつもの日常に戻るけど、この時間だけ、私は最強。「世界一可愛いくなれる魔法」がかかっているからね! 〈あとがき〉 自分を変える魔法を使う、強く生きる女の子を書きました。この話を読んだそこのあなたも、自分なりの「魔法」を見つけて、使いこなして、強く生きてほしいな・・・。