短編小説みんなの答え:3

【短編小説】あいあいがさ。ーコイノハジマリー

【登場人物】 ・月島ふたば ・和泉清也 「あっ…………」 生徒玄関で、私は絶望した。傘を忘れたのだ。朝家を出る時は晴れていたから、午後から雨が降ることなんてすっかり忘れて、持って来なかったのだ。先月末に、可愛い傘を買ったばかりで、早く使いたいと思っていたのに。どこまでも詰めが甘い自分に腹が立つ。いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。この雨の中、どうやって学校の最寄り駅まで行くか考えないと。全く止みそうにないこの雨が止むのを待つか、いっそのこと走って駅まで行くか。 『月島さん、傘、なくて困ってる?』 突然、男子の声がして振り返るとクラスメイトの和泉清也くんが立っていた。びっくりした。まともに話したことはないけど、実は彼に片想い中。しかも私にとって初恋。 「あ……うん。どうしようか考えてたところなんだよね」とへらっと笑って答えると、和泉くんは持っていた白い傘を私に差し出して、 『これ、使って』 と言った。さすがに申し訳ないので、 「でも、和泉くんが濡れちゃうよ…。申し訳ないし」 と彼に言うと、彼はとんでもない事を言い出した。 『わかった、家まで一緒に行こう。そうしたら2人とも濡れずにすむからいいんじゃない?』 彼はとても良い考えを思い付いたと言わんばかりの顔でこちらを見てくる。自分の言っている言葉の意味を分かっているのだろうか、この人は。だいたい、まだ同じクラスになって1ヶ月ちょっとしか経っていないのにまともに話したこともない女子の家まで相合傘で送るだなんて一体どこからそんな考えが浮かぶんだろう。何も分かってないじゃん。 「いや、さすがにそれは……」 と言うと、 『やっぱそうかな。だったら駅まで一緒に行こうよ。どうせ僕も駅までは行くし』 ・・・。 結局、彼に押しきられて駅まで傘に入れてもらうことになった。駅まではいつも15分もあれば着くのに、1時間は掛かったんじゃないかというくらい長く感じた。そして和泉くんに鼓動が聞こえてるんじゃないかと思うくらい心臓がバクバクしていた。そもそも相合傘なんて、幼稚園の頃雨の中お迎えにきたお母さんとしたっきりやっていない。そんな私が、片想い中のクラスメイトと相合傘をすることになるなんて誰が想像していただろう。我ながら驚きでいっぱいだ。 駅に着いてお礼を言い、それぞれの家路に着いてからも、鼓動はまだ速いままだった。人気の少ない電車に揺られながら、私は小さく呟いた。 「やっぱ、好きだよ。……和泉くんのこと」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 懐雨ーnaTsumeーこと懐雨です。 恋愛モノを中心に小説書いてます。 感想・アドバイス大歓迎です!

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