離れてても、気持ちは変わらないから。
私は草野心音(くさのここね)、ねこねこ小学校の四年生。 私はねこ、なんだけど…ね、だいたいあなたたちと同じ人間。 しっぽがはえてるのと、頭にねこ耳がはえてるだけ。 顔の横に人間みたいな耳はないけど、あとはあなたたちと一緒。 普通に人間と同じものを食べるし。 今日の授業は、人間に化けることだった。 私は呪文をとなえる。 「人間になれ、草野心音!」 ボンッ! 頭をさわると、猫耳はない。しっぽもない。 鏡を見ると、もう人間だった。普通の人間。 「この姿で、人間界に行け。ただし、1年だけだぞ。」 1年…。長いな。 先生は、なにやら呪文をとなえて、人間界へのドアを出した。 「さぁ、入れ!たっぷり楽しんでくるんだぞ!」 「ん…。」 辺りを見ると、そこは、たしかに人間界だった。 「大丈夫?」 「え?」 顔をあげると、そこには、男の子の顔があった。 「う、うん…」 「名前は?あ、俺は、小林悠真(こばやしゆうま)。」 「え、えっと、草野心音です」 「へー、かわいい名前だね!よかったらうちに来ない?」 え?!そ、そんなことしてもらっていいのかなぁ 「え、いいの?迷惑かけてごめんね…」 「いいよ。さ、行こ!」 「学校は…」 「あ、花野小学校から転校してきたって、言えばいいよ!」 「ありがとう」 「花野小学校から転校してきました、草野心音です、よろしくおねがいします」 朝の会が終わると、みんな集まってきた。 いろんなこと聞かれて疲れたけど…。 「心音、好きだ。付き合ってくれ」 「え…こんな私でもいいの?」 「いい。俺が好きなんだからいいだろ」 「いいよ!付き合う」 「はぁ、もう1年たつんだね。」 「そうだね、あ、大晦日、俺の部屋で新年迎えよー!」 「い、いいよ!」 もうねこに戻っちゃうんだ…。嫌だよ、ずっといたいよ。 「10、9、8、7────え?心音?!」 「時間が来ちゃったみたいね」 「え、どういうこと、心音…」 「私はねこ、人間界に来たねこなの…。だから、もう付き合えない… ごめんね、本当に────」 「いいんだ、心音と俺が離れてても、気持ちは変わらないから。 だから、戻っていいよ」 「ありがとう、悠真くん。じゃあ、またね」 「ああ、またな。」 “離れてても、絶対きみのことを思ってるよ”