短編小説みんなの答え:7

あ な た と 飴 玉

__昔、近所の男の子からもらった飴玉。 透き通っていて、雲がない青空みたいに綺麗な飴玉だった。 あたしはそれを忘れられない。 その男の子は、あたしが引っ越してきたときにお家に来てくれた。 『これからよろしくな。これ、やるよ』 とだけ言って、去ってしまった。 包み紙を開くと、綺麗な飴玉が入っていた。 しばらく息をすることも忘れて眺めていた。  『小学校、一緒に行こうぜ!』 しばらく経ったある日。男の子はあたしにそう言ってきた。 もうすぐ冬だと言うのに半袖。見るからにやんちゃだ。 あたしとはタイプが合わないだろうなぁと思っていた。話も合わなそう。 ……と思っていたのに、思っていたのに。 その子といると落ち着いて、楽しかった。 あたしは分かった。これが恋だということに。 中学生になっても相変わらず一緒に学校に行くことになった。 「アツアツですなぁ」「カップルかよー」 そんな声も聞こえてきたけれど、あたしは正直嬉しかった。 好きな人が毎朝一番最初に見られるなんて、嬉しいにも程があるよ。 お互い部活でいそがしかったけど、たまたま玄関で会えば一緒に帰った。 一緒に見る夕日が好きだった。 『なぁ、一緒に行くの、やめないか…?』 突然言われた一言。頭を殴られたみたいな衝撃が走る。 『…なんで?』 『俺さ、彼女、できたんだよね』 ……え? 『だから勘違いされても困るっていうか…。もちろんお前といるのは楽しいんだけど、その…』 『なーんだ!彼女できたの?先に言ってよー。いいよ、お幸せにね!』 なるべく明るく言ったつもりだった。 そこから、彼は一人で行くようになった。途中で彼女と合流している。 気がない女と毎朝学校に行ってたの? ……期待させないでよ。 制服のポケットから飴を取り出した。 アイツの顔を思い出すけど、でもこの飴には甘い思い出も、そして新たに苦い思い出も混じっているような気がするから。 口に飴玉を放り込んだ。 __やっぱりあなたのことが、忘れられない。

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