また,来年も 雪となって 君のもとへ 会いに行こう.
あの日,僕は,空から降ってきた. 寒い春の日,僕は,人間の女の子によって,作られた. ここまで言えば,僕の正体,分かったかな? そう.僕は,雪だるま. 誰かと会話もできない,自由に動けない,雪だるま. そんな僕に,話しかけてくれるのは, 僕を作ってくれた,女の子. 出かける時は,必ず僕に話しかけてから出かける. そんな,彼女の優しい心が大好きで,いつまでも一緒に居たかった. だけど___ 僕達,雪だるまの切ない運命. それは,容赦なくやってくる. 雪は,いずれ溶けてしまう. それと同じように,雪だるまだって… って,こんなこと考えるより,一瞬一瞬を大切にしなきゃね. あ.ほら,今日も話しかけて来てくれる.′ 「おはよう.雪だるまさん.調子は,どう?」 うん.めちゃくちゃ,良い調子だよ.′ 君には聞こえなくても,僕は,君に返事をした. すると, 「雪だるまさん.私ね.1時間後に家族で旅行に行くの.′」 君はそう言って,再び家の中に戻っていった. 1時間後___ 「じゃぁね.′雪だるまさん.また3日後に.′」 君は,そう言って車に乗り込んだ. やがて,君が乗った車は,見えなくなった. その日の午後___ 雲の中に隠れていた太陽が姿を現した. そのとたん… 僕の体が崩れ始めた. 僕は,一瞬で理解した. あぁ.来てしまったんだ.ついに. 僕の終わりが,来てしまったんだ… 最後にもう一度だけ,君の声が聞きたかった. もう一度だけでいいから. でも,もう無理みたいだ. 力がどんどん失われていく… また,また…雪となって,君に会いに行こう. だから,君も僕を待っていて. また,来年に会おう. 何があっても,必ず,君のもとに会いに行く. そう心に誓って,体の雪が,最後の一粒になるまで,君のことを思っていた.