めいどからの便り
_____ 嗚呼、どうも久し振りです。 ちゃんと読めているでしょうか? どうも筆が乗らず、今更の便りになりました。そちらでは「桜」が咲いているそうですね。 さて前置きが長くなりましたが、新しいメイド達はちゃんと仕事が出来ているのでしょうか?貴方はかなり大雑把なところもあるので私とて心配です。 貴方は私の帰りを待っているでしょうが、諦めてくださいな。ちゃんと自分で出来る様になってくださいね。 こちらには貴方の知人も居ます。例えば貴方の親友だった子とか……。 まぁ、私が居なくても元気にしてくださいね。 _________ 私は姉さんの便りを待っている。 古ぼけた赤いポストの前で、桜の花弁に埋もれながら。 私の家はここらでも有名な家系でそれなりに裕福だった。誰にでも優しく聡明な父にしっかりしていてお人好しな母。 両親はこの地域の人からも、家のメイドさん達からも慕われていた。 そんな二人の間に生まれたのが私の姉。母似の白髪に父譲りの紫色の瞳。それから性格だって優しくて聡明でしっかり者。いいとこ取りな皆の天使だった。 それなのに私は姉と違うボサボサの銀髪に赤色の瞳。不器用で頑固で意地っ張りで負けず嫌いで諦めが悪い。 父や母、姉から向けられる愛情だって真っ直ぐ受け止めきれず、どんどん歪ませて結局傷つく。自業自得なのに勝手に環境や周りの人ばかりを憎む。 私の家の当主の決め方は特殊で、一番下の子が7歳になった時に 子供一人一人が桜の木を一つ植えて育てる。 そして下の子が13歳になった時に一番長く咲いていた桜の木を植えた子が当主。 というなんとも不思議な決め方。 姉が植えた桜の木は立派で綺麗に咲いた。 対して私の木はちっぽけで弱くてなんだが不恰好に咲いた。 ____ だが 一番長く咲いたのは私の桜だった。姉よりも長く。それからは散々だった。街の人からはそりゃ勿論、不正したのなんの言われ、姉が可哀想と怒鳴られた。 姉は何を思ったか私直属のメイドになってしまったし、私は当主がどうとかもうわからなくなった。 ________ 私が15の時、姉は争いに駆り出されることになった。正直、嬉しかった。だってもう比べられることが暫くないのだから。 それから4年経っても戦争は続いている。 東の方の国と争いをしているから、今頃姉は本部の近くの医療班に居るはずだ。 それから私は大嫌いな姉の手紙を毎日待っている。あくまでもあの人の便りを、ずっとずっと、前より少しは立派になった姉妹で植えた桜の木に埋もれて。 _______ あの人から手紙が来た。 嗚呼、何4年も待たせてるんだなんて思ってしまって。 内容はなんとも姉らしくて、自分がいなくても元気で居ろとか。 少し苦笑した。 2週間後くらいに二通目が届いた。 それは目を見張るものだったけれど、やっぱり姉は帰ってこないのだなと痛感させられた。 ________ えぇ、これが二通目ですかね。 此間の便りは随分と時間をかけたのでこれはすぐ届けられるようにと書いています。 まず、しっかり当主として父さんと母さんが残した家を守ること。 そして、元気でいてくださいね。本当に。 争いに行くとなって駅まで貴方が一緒に来てくれて、いよいよ乗り込むとなった時に貴方が “ レアル姉さん ” って もう4年ぶりくらいに言ってくれた時は嬉しかったなぁ……。 今もこうして貴方に届くことを願っているけれど、実際のところめいどからの便りなんて気味が悪いでしょう。 それでも私は貴方が、貴方が幸せならいいんですよ。 ______ 実は冥土の者も生前一番大切に思っていた人に便りを二通だけ送ることができるそうだ。 実際、僕の知人のライラさんも亡くなったお姉さんから手紙が届いたそう。 「えぇ、大嫌いな姉さんからですよ。手紙にメイドからの手紙なんて気味が悪いでしょ、とか書いてあってその通りだよ莫迦、なんて苦笑してしまいましたね。本当に大嫌いでしたから。」 そう言いながら苦笑いをしている彼女はどうにも、寂しそうに、一つの桜を支えるようにして生えている桜の木を見つめているものですから、不思議で堪りませんでした。 ____ 作者です。めいどは冥土とメイドを掛けています。是非感想や考察お願いします。それと駄作ですみません。