短編小説みんなの答え:4

お母さんの夢

「…ね、ももね!いい加減起きなさい!」 目を覚ますと、目の前にはお母さんの怒った顔があった。 「え、え…?お母さん…?」 「何驚いてんのよ、早く支度しなさい」 …おかしい。明らかにおかしい。 だって、私のお母さんは…去年事故で死んだんだ。 なのに、なんで生きてるの? ほっぺをつねる。痛くは感じない。 …なあんだ、夢か。 「いってらっしゃい、ももね」 「いってきます」 もういい。 これが夢なら、思う存分楽しんでやる。 それから、(夢の中で)一週間が経過した。 もう夢という実感がなくなってきた。 いっそこのまま、ここに暮らしていたい。 ふと、カレンダーをみる。 今日は、4/25。 …お母さんの命日だ。 今日のお母さん、なんだか様子がおかしい。 挨拶が返ってこないし、ご飯も食卓に出してくれない。 「…お、お母さん…今日、どうしたの?」 するとお母さんは、こちらを睨んで言った。 「ももねの方がどうかしてるわよ。逃げてばかりいないで、現実を見なさい」 …え、もしかして… 「ここが夢の世界って、知ってるの…?」 「知ってるも何も。…ほら、お出口はあちらよ」 そう言ってお母さんは押し入れを指さした。 お母さんが扉を開けると、そこは真っ白に光っていた。 「さぁ、早く帰りなさい。ももねがここにいる資格はないわ」 そうして私を無理やり押入れの前に立たせた。 「…やだ、まだお母さんといたい」 私の体は震えていた。 すると、お母さんは何も言わずに私を押入れの中に押し込んだ。 目の前が白く染まっていく中、その奥でお母さんは言った。 「あなたはもう、十分強いの。…じゃあね、頑張ってね」 そう言ったお母さんの顔は、とても優しい笑顔に包まれていた。 目を覚ますとそこは、病院の個室だった。 私は、自殺を図ったらしく、薬を飲んで一週間ほど眠っていて、生死をさまよっていたらしい。 『ももねがここにいる資格はないわ』 …あれは、もしかしたら… 「…ありがとう、お母さん。私…お母さんの分まで生きるよ」

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