【短編小説】詐欺の電話
???:「もしもし?俺だけど、俺。母さんであってるよね?」 今、珍しく私の家の固定電話に電話がかかってきた。こんな田舎の家の固定電話にかけてくるのは、先月亡くなってしまった私の母くらいだ。一人暮らしを始めてから十数年、母以外に固定電話にかけてきた人物はいない。 そのせいもあってか、話し方からしてか、相手が「オレオレ詐欺師」であることがすぐにわかった。どうせ暇なので、相手をからかってみることにした。 私 :「うん。私だよ、母さんだよ」 詐欺師:「よかった。母さんずっと固定電話使うからさー、番号あってたかなって、心配だったんだ。」 もしかして後で本物の親じゃ無いってバレて訴えられるかなーとか思ったけど、なかなか切る合間がなかった。というのも、電話の相手はオレオレ詐欺だとは思えないほど自分のことを話してきたのだ。 「最近_______がさー、」「母さんそういうとこ変わんないよね」「大学受験受ける!」 オレオレ詐欺って、こんなに身内のこと話すっけ?と疑うほどに。いや、全部作り話かもだけど。 そして私はそれに、 「へぇーそぉなのぉ。」「悪かったね、変わらなくて」「大きく出たねー。頑張って!」 と、本物の母親のように、気がついたら返していた。 結婚もまだだし、勿論子供なんていない身だけど。 結局詐欺に関係ありそうなことなんてお互い一言も発しず、最後に向こうが「じゃあまた連絡する」と言って電話を切った。 私はいつもはスマホでやり取りするから固定電話はものすごい古式なもので、相手の番号もわからなかった。 その後も一週間おきくらいに同じ青年から電話がかかってきた。 どの電話もたわいもない話しかしなかった。 初めの電話から2ヶ月くらいした後、その日も固定電話に電話がかかってきた。 電話に出てみると、例の青年の声がした。 青年:「もしもし、俺だよ。」 私 :「どうしたの?なんか早口じゃない?」 いつもは落ち着いた声で「俺だよ」というのに、今日は少し慌てているように聞こえた。 青年:「大学受けるって言ったろ?あれ、昨日の9時くらいに結果が出ててさ」 :「受かったんだよ!」 顔も名前も知らない男の大学の合否なんて、知ってもなんの得もない、いらない情報のはずだったのに、私は初めの電話の時からずっと、大学受験のことを気にかけていた。 私 :「ほんと?おめでとー!!」 私がそう言った瞬間、向こうから泣き声が聞こえた。 私 :「…急に泣くなんて、らしくないね」 青年:「ごめっ」 その後も5分くらい、ずっと泣いていた。 不審に思っちゃうほどずっと。 青年:「………ありがとう」 私 :「え?何が?」 青年:「きっと名前も知らないだろう俺に付き合ってくれて、ありがとう」 :「母さんが若くなって生き返ったみたいで、楽しかった」 最後にそう言って、詐欺師は電話を切った。 それから電話がかかってくることはなかった。 後書き__________________ こんにちは。海澄です*みんとって読みます! 今日は短編小説に挑戦です! ここからは一応ネタバラシです。(書きにくいので口調を変えます 電話をかけてきた男は、本当にオレオレ詐欺をしようとしていたのかはわからない。ただ、「私」の声が自分の母親の若い頃に似ていたのだろう。話からして、男の母は亡くなっているようだ。訳を話すこともなく、男は彼女を利用した。だから最後まで「詐欺師」と表記されている。 大作にはならなかったけど、小作(?)にはならなかったかなー(自分の中で 感想等あれば書いてってくだせー それではー*