短編小説みんなの答え:4

運命の2択

「あなたの余命は、残り1か月です」 医者にそう言われたとき、私は、人生で一度も味わったことのないような驚きとショックで、頭の中が真っ白になった──。 私は、美良(みら)。19歳。私は、14歳のとき、1人で韓国に行き、芸能事務所でレッスンを受けたり、オーディションに参加したりした。 夢だったK-POPアイドルになれたのは、16歳のとき。14歳~19歳の日本人と韓国人が9人集まってできたグループ。メンバーは、みんな可愛くて、優しくて、ダンスも、歌も、デビューしたての頃から一人前だった。 個性がバラバラだから、時にはケンカをすることもあったが、力を合わせて、努力していき、今では、世界中にファンがいるほどだ。 先日、私は、芸能事務所からメンバーと一緒に住む寮に戻るために、バスに乗った。普段は、メンバーの中で唯一、運転免許を持っている最年長メンバーのユソンに送迎をしてもらう。が、その日はあいにく、ユソンはドラマ撮影があり、いなかった。だから、バスに乗ることになったのだ。 その日は、雨の影響で、歩行者も、車も、道路で滑りやすかった。だからなのか、バスが交差点を曲がろうとしたとき、スリップし、近くのガードレールにぶつかり、バスが横転した。考えるよりも先に、私は、意識を失った──。 何人もの乗客が亡くなっていく中、私は、なんとか命は助かった。しかし、事故の後遺症により、生きられるのは、あと1か月。今は、自由に動かせる体も、2週間後には全く動かなくなり、さらに2週間後、死に至るそうだ。 けれども、手術をすれば、事故の後遺症は完治するらしい。が、その手術の成功率は、50%。半分の確率で、死に至る。事故の後遺症で1か月後、確実に死ぬか、成功するかどうかわからない手術を受けるか。この2択だ。 どうすればいいのか、悩んでいるうちに、1週間が経ってしまった。私は、病院の屋上に行った。少し冷たい、晩秋の風が頬をなでる。空には、真っ白なイワシが泳いでいる。 私は、ふと、ここで踊ってみたいという思いが湧いてきた。考えるよりも先に、私の体は動き始めた。今、踊っているのは、次のライブで踊る予定だった新曲。目の前には、たくさんのファンの方々。耳に入ってくるのは、アップテンポの音楽。口から流れるメロディーと歌詞。息が上がって、苦しいのに、心地良くて、気持ちいい。 やっぱり、私、まだ生きていたい。もっと踊りたい。もっと歌いたい。私は、急いで病室に戻り、医者にこう言った。 「私、手術、受けたいです」

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