俺たちが恋人同士になったわけ
志歩が幼馴染の快斗と、今日も笑って話している。 時折、お互いがお互いの腕や肩に触れる。誰が見ても、両想いの2人。 2、3才の時からの仲だと言っていた。家は近所で、親同士の仲もいいから、とても親しいらしい。 そんな2人の光景を、俺・高橋湊は複雑な気持ちで見ていた。 複雑な気持ち=嫉妬。そう、俺は志歩ー高木志歩のことが好きなのだ。 だけど、志歩は快斗のことが好きなのだろう。で、快斗も志歩のことが好きだと思う。 俺が入る隙間なんてない。分かっているけど、俺の彼女にしたい。バカみたいだけど。 俺が志歩を好きになったきっかけは、中1の入学式の次の日だった。 同じ小学校だった人がほとんどクラスにいなかった。少しはいたけど、それほど仲がいい人じゃない。 休み時間は暇で、一人で考え事などをしていた時、前の席の女子が俺に話しかけてきた。 「初めましてだね。湊くんって言うの?わたし、高木志歩。よろしくね!」 そう言って、志歩はふわりと笑った。鼓動が速くなる。その笑顔から、目を離したくない。 「…志歩」 「そう!志歩!」 志歩は嬉しそうに、無邪気な顔で笑った。自分の顔が熱くなるのが分かった。 ー好きだ。こんなにも簡単に恋に落ちるだなんて、思いもしなかった。 気づいたら志歩のことを目で追っていた。目があった時は、内心ハラハラするけど、決まって志歩は小さく笑った。 志歩とは1日に2、3回話すくらいの関係だった。別にとりわけ仲が良く見える訳ではなかった。 この時は、快斗は同じクラスじゃなかったから、嫉妬なんてそうそうしなかった。 2年生のクラス替えでは、運良く志歩とまた同じクラスだった。 この時は、マジで嬉しかった。 だけど、快斗と志歩が幼馴染だと知ってからは、嫉妬する毎日だった。バカみたいだけど。 で、今。今も俺は志歩が好きだ。 快斗が志歩に告白した。だけど、フラれたらしい。そんな噂を最近耳にするようになった。 マジで?2人は両想いじゃなかったのかよ?…じゃあ、まだ俺にもチャンスがあるってこと? 女友達と話している志歩を見る。その時、バチッと目があった。 いつものように、志歩は俺をみて笑うんだと思った。 だけど、志歩は顔を耳まで赤くし、ふいっとそっぽを向いた。 …何、今の。俺まで鼓動が速くなる。俺が志歩を見る前から、志歩は俺を見ていたのか…? 志歩の照れ顔なんて反則だ。可愛すぎる。 俺の彼女にしたい。この時、今までで一番強くそう思った。 放課後。 部活終わり、カバンを取りに教室に行くと、志歩が1人で教室にいた。 「志歩?ここで何してるの」 「えっ、湊くん!?」 肩をビクッと震わせ、おどろいた様子で俺の方を見た。 「湊くん、あの、ちょっと話が…」 ほおを赤く染めた志歩が、俺にそう言った。 え?話ってまさか…そういうやつ?鼓動が速くなっていく。 「あの、私、湊くんのことが、ずっと…!」 「ちょっと待って」 「え?」 あああっ、こんなこと言うつもりじゃなかったのに!素直に話の続きを聞けばよかった!俺のバカ!! 「ずっと…!」の言葉の続きが「好き」じゃなかったらどうする気だよっ!! だけど、後にはひけない。 「志歩。俺、志歩のことが…」 目をぎゅっとつむる。志歩の顔をまともに見れない。 「好き…です」 俺の口から出てきたのは、そんな言葉。 情けねぇ。どこが好きとか、ちゃんと言ったほうがよかったよな…。 閉じていた目を開いて、志歩の方を見る。とびこんできた光景に、思わず目を見張る。 志歩が、泣いていた。…何か気に障ってしまったのだろうか。 「…志歩…」 「湊、くん、わ、たし…っ。私も、湊くんのことが、す、好き…!」 好きな人の泣き顔とか反則だ。可愛すぎる。 待って。それより、俺の事が好きってマジか?志歩は…俺の事が好きなの?マジで? 「マジ?本当?」 俺がそう言うと、志歩はこくこくっとうなずいた。…超可愛い。 「じゃあ…俺の彼女になってくれますか?」 「…はいっ!」 こうして俺たちは、恋人同士になったのだ。