短編小説みんなの答え:3

才能売ってます※ホラーあり

塾の帰り道 僕は将来、医者になりたいと思っている だけど、僕にその才能は無いと言われた 「勇斗お前さ、人が切られたりとか血とか無理じゃんか」 「気持ちはわかるけどさ…」 「頭は良いのにね」 僕に才能さえあればな 誰もいない暗い公園の前を通った時 「そこの坊っちゃん」 そう呼び止められた 「…ごめんなさい、急いでるので」 そういって帰ろうとした 声の主は、小汚く怪しい商店を開いていて 関わってはいけないと直感したからだ そいつが次にこう言わなければ、僕はそのまま帰っていたかもしれない 「…あんた、才能はいらないかえ?」 才能…?何言ってるんだ?そう思ったが、それと同時に、ある事を思っていた 「…才能って…て事は才能を買えるのか?」 「ああ、そうともそうとも、どれ、ちょっと見てくかい?」 空の小瓶が並んでいて、ラベルが貼ってある 一つ一つ念入りに目を通した そして見つけた 『医療の才能』 「あの、これ下さい」 「…ああ、それは先客がいてねえ…忘れてたよ」 「なんだって!?」 「すまないね…ところで、なんで医療に興味があるんだい?」 「ばあちゃんが癌で死んだ、だからそうやって苦しむ人が一人でも減らせるように、医者になりたかったんだ」 「おやおや、立派じゃないか」 「だけど、僕は…血とか無理で…」 そういうと、店主は少し考えてから、一つの小瓶を差し出した 『殺人の才能』 僕は一瞬思考が停止した まさかこいつは…僕にこれを使えと言っているのか? 「ふざけんな、聞いてたのか?」 「いや、坊っちゃんの話を聞く限り、血さえ克服しちゃえばなんとでもなると思ってねえ」 「血を克服…」 確かに、殺人の才能があったとしても、それに手を出さない限りは医者でいられるかも知れない 血さえ平気になれば… 「…おや、まいどあり…金は受け取らないよ、医者の才能をやれなかったからね」 僕は帰ってから小瓶を開けた 自分の指に針を刺す 「凄い…血が怖くない、これで僕は医者に!」 次の日、僕は学校が楽しみだった 友達に血が克服できたと話して驚いて欲しかった 「母さんおはよー」 「あらおはよう、ご飯そこね」 「ういー」 ご飯を頬張りながらテレビをつける 『続いてのニュースです、先日行われた殺人事件の犯人は現在も逃走中です』 ―ガチャン 「…勇斗?」 僕はニュースに釘付けだった 殺人事件の犯人がかっこよくて仕方なかった 僕も…僕も… 「ちょっと勇斗!?」 「…うるさいな」 右手にお箸を持って、母さんを刺した 『続いてのニュースです、男子高校生が母親を複数刺し殺害した事件について、男子高校生は今だ逃走中、近隣住民からは不安の声が…』 「あらあら、やっぱり駄目だったかい」 店主がラジオを聞いて呆れたように小瓶を並べる 「先客なんているわけ無いじゃないか、ただ気になったのさ」 医療の才能の小瓶を転がして、ため息を吐く 「坊っちゃんは本当に人を医者として救いたかったのかってね、自分にはどうしても、医者の立場を免罪符にして、人が死ぬ現場に関わりたいって感じにしか見えなかったからねえ…」 才能ってのは、無理に求めるもんじゃあ無いよ

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