『ありがとう』そして『ごめんね』
ここに居るのも、もう飽きた。 白い服 白いベット いつもの先生 いつものお姉さん 僕はここから出られない。 ちくっと胸が痛んだ。 反射的に、手で胸をつかむ。 「施設内だったら歩いてもいいですよ。」 そう言われて、僕は静かな廊下を歩いた。 「…………!」 目の前の男の子が振り向く。 「っ……!」 僕は思わず走り出していた。 長年使っていなかった足が悲鳴をあげる。 「っはぁ、はぁっはぁっ。」 その場で僕は倒れ込んだ。 向こうから足音が近づいてくる。 めまいがする。心臓もうるさい。足が痛い。 僕の視界は暗くなった。 「……!」 気付いたら僕は闇の中。 真っ暗な奈落に落ちて行っていた。 僕は必死にもがいた。 だけど、途中であきらめた。 僕が居なくてもみんな笑ってたじゃないか。 僕が居なくても別に世界は滅ばない。 僕が居なくなっても誰も気付かない。 僕は体の力を抜いた。 息をするのが苦しくなる。 この苦しさとも、もうすぐおさらばだ。 「…!~~~!!」 「……?」 聞きなれた声が聞こえて僕はゆっくり目を開けた。 「~~~~!!ーー。ーー!!」 これは、先生? お姉さん? ううん、それよりももっと優しい声。 ―もしかしてお兄ちゃん? 意識が薄れてくる。 お兄ちゃんは僕の事嫌いで 死んでほしいと思ってて 怖くて 冷たくて 体が冷たくなっていく。 でも、優しくて 不器用で ツンデレで いつも遠くから見守っていた 良く思えば、いい思い出ばかりじゃないか。 僕は最後に口を動かした。 喋る元気はないけれど、伝わるはずだ。 『ありがとう』 そして、 『ごめんね』